【コラム】学生運動主導者が牛耳る韓国大統領府

 民主党が大統領選挙で勝利して以降、80年代の集会でこの歌を先唱した全大協の幹部たちが一人、また一人と大統領府に採用されていった事実に注目する必要性がある。秘書官クラス以上の大統領府秘書室の要職に、全大協所属の総学生会長、総女子学生会長として活躍した運動圏の10人が任命された。全大協で昔議長を務めたイム・ジョンソク秘書室長以外に、文大統領が毎日顔を合わせる3人の側近といえば、国政状況室長、第1、第2付属秘書官だ。これらの人物は、国民大、釜山大、梨花女子大の総学生会長としてイム室長と同じ時期に全大協で活動したメンバーだ。政務企画、政務秘書官も、全北大、円光大の「総学生会長」経験者だ。春秋館長は国民大の総学生会長を、市民社会秘書官は全北大の総女子学生会長をそれぞれ務めた。全大協連帯事業局長、文化局長を務めた人物は、それぞれ民政秘書官と演説秘書官を担当することになった。イム室長が指揮する26人の秘書官のうち実に9人(34%)が全大協で活動した経験を持つ人物なのだ。これら以外にも大統領府の至る所で全大協上がりの人物たちが行政官として布陣し、政策を指揮している。「全大協は文在寅政権のキッチンキャビネット(非公式の実勢グループ)ではないか」「大統領府は全大協に乗っ取られたようだ」などという言葉が決して大げさではないことがよく分かる。

 民主労働党のチュ・デファン元政策委員会議長は、大統領選挙の前から、文大統領が80年代の論理のとりことなっている運動圏の勢力にまんまと丸め込まれている、と批判してきた。事実上重要な政策決定は運動圏上がりが下し、文大統領は単なる「顔だけの人」というわけだ。こうした脈絡から、大統領府がTHAAD配置の延期を決断した背景には、過去「米国のやつら」と口走ってきた反米運動圏グループが見え隠れする。

李河遠(イ・ハウォン)論説委員
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