【コラム】金正恩の善意を信じる韓国の楽観的太陽政策論者たち

 今や誰もが同意する、親北朝鮮主義者ですら否定できない事実がある。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長は、決して合理的な人物ではないという点だ。「金正恩除去」が最も確実な解決法だということに、国際社会は同意している。

 ところが韓国には、金正恩の善良さを信じる「太陽楽観主義者」が依然として存在している。最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補はテレビ討論で、北朝鮮が「主敵」だと語ることを拒否した。一方で、南北首脳会談に言及することもあった。対話すべきときでも銃を持つのが安全保障だ。北朝鮮を主敵というなら対話は駄目、という論理はどこから出てくるのか。現在、北朝鮮はやくざじみたまねを続けているというのに、首脳会談に言及していいタイミングなのか。

 野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補は、北朝鮮に5億ドル(現在のレートで約547億円)送った違法送金事件には「功罪ある」と語った。どういう功績があったというのか。5億ドルが核とミサイルという形で返ってきているのに、怒る気にすらならない。

 北朝鮮とは対話も必要で、交渉もすべきだ。だからといって、対話そのものが目的になってはならない。金正恩は義理の叔父を銃殺し、白昼堂々よその国で異母兄まで殺害した。こんな人物が太陽政策のパートナーになり得るのか。太陽の光で包んでやれば、合理的な対話が可能だとでもいうのか。

 太陽政策は、理論的には立派な政策だ。しかし、非現実的な北朝鮮観が対策なき楽観論を生むという致命的欠陥を抱えている。まさかと思いながらも備えなかったために、こんなありさまになった。北朝鮮にだまされてきた安全保障の「失われた20年」が、ひたすら恨めしい。あれほどだまされたのに、まただまされるのか。

朴正薫(パク・チョンフン)論説委員
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