【寄稿】THAAD配備撤回は「第2のアチソン・ライン」だ

 また、THAADの配備は韓国経済を安定させる役割も果たす。今年1月に北朝鮮が4回目の核実験を行った際、知人が外国の客との夕食の席でこんな話を聞いた。その外国人たちは本国から安否を問う連絡を受け、できることなら韓国を離れるようにと忠告されたというのだ。筆者自身も外国の友人たちから身を案じるような言葉を掛けられている。

 私たちは北朝鮮の威嚇に鈍感になっているが、外国人の訪問客は不安を覚えるだろうし、継続的な安保不安は貿易に依存する韓国経済にとって打撃となりかねない。米軍のTHAADが配備され、韓国の安保状況が安定すれば、度重なる北朝鮮の威嚇に不安を覚える外国のバイヤーたちも米国が韓国防衛の約束を守るものと信じ、安心して韓国と取引を続けるだろう。

 与党側の3月の調査によると、南北関係破綻(はたん)の責任について回答者の71%が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長にあると答えた。朴大統領の責任だとする回答は17%だった。また、全体の75%が北朝鮮は韓国の安保に脅威になると答え、脅威にならないとの回答は23%にとどまった。

 さらに、北朝鮮に対して強硬に対応すべきとの回答が全体の58%を占め、融和・穏健的な対応を望む回答は30%だった。全体の79%は安保が経済の安定に重要だと答え、安保と経済は無関係との回答はわずか17%だった。安保と経済を関連付ける国民意識が、THAAD配備を正当化する。

 北朝鮮の核とミサイルによる脅威が存在している今、THAADを配備した場合としない場合では韓国の経済活動にどのような差が生まれるかを調査し、THAADが経済に与える影響を測定することが可能だ。結果は目に見えていると言う人もいるだろうが、安保と経済の相関関係が数値として表れれば、安保政策の樹立に有益なだけでなく国民の安保意識を高める上でも役立つに違いない。韓国政府には、THAADと安保と経済がひとつであることを科学的に示す戦略を取り、配備反対派の国民を説得してほしい。

李英作(イ・ヨンジャク)西京大碩座(せきざ)教授
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