【コラム】「潘基文大統領」なら韓国外交はうまくいくのか

 南スーダンのワラプ州の奥地、トンズで子どもたちを教え、治療にも当たっていた故イ・テソク神父の感動的な話を覚えている。インフラ建設と人道支援は、政府より企業や民間が主導した方が効果が2倍になる、というのだ。米国との同盟関係をきちんと築いてこそ、中国に対するテコが働き韓半島(朝鮮半島)の平和が確固たるものになる。だからといって、米国の要求事項に毎回従うのが賢いやり方というわけではない。韓国も今や国際社会でより大きな大義名分を掲げて実益を生み出し、それを分け与える「積極外交」を本気で検討する時期がやって来た。

 筆者は前政権の外交・安保のスタッフを務めていた時代、ワシントン出張中に潘総長に近況を尋ねる電話をかけたことがあった。潘総長はあいさつを述べた後で、韓国政府が北朝鮮に対してコメを送るなどして南北関係が改善することを期待していると話した。時期は2009年5月中旬、北朝鮮が3年ぶりに長距離ミサイルを発射した1カ月後のことで、2回目の核実験(5月25日)が迫っていた時期だったため、多少ふに落ちない発言に聞こえた。李明博(イ・ミョンバク)政権は米国のブッシュ、オバマの両政権を説得し、北朝鮮への人道支援の品目としてコメの代わりに別の穀物を送った。2010年の夏の終わり、北朝鮮が水害に見舞われると、韓国政府はコメ5000トンと即席ラーメン300万個を送ったが、支援した食品は被害地域には届かず軍部隊に流れた。今月初め、北朝鮮は中国に代表団を派遣し、大規模なコメ支援を要請した。コメが届けばまずは軍隊に送られ、もっと届けば北朝鮮は配給制度を強化して民間の市場を萎縮させる。こうした点から、北朝鮮に送られるコメは北朝鮮の住民を助けることができない。

金泰孝(キム・テヒョ)成均館大学政治外交学科教授
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