広島と長崎の被爆者の中には、徴用などで連れて行かれた朝鮮人7万人も含まれている。広島平和記念資料館で聞いた被曝生存者の肉声録音の中に、今なお忘れられない声がある。在日朝鮮人の証言だった。「原爆投下の当時、自分が生きているという事実を確認した後、真っ先に抱いた思いは、日本人が自分たちに責任を負わせて虐殺するかもしれないという恐怖だった」。空前の惨劇の現場で、1923年の関東大震災の際、6000人近い朝鮮人が虐殺された記憶から思い出したというのだ。
おととい、植民地時代に韓国の独立運動家が辛酸をなめた西大門刑務所の歴史館を鳩山由紀夫元首相が訪れ、ひざまずいた写真は印象的だった。鳩山元首相は、被害に遭った側から「もういい」と言われるまで謝罪をやめてはならないと言った。安倍首相が率いる今の日本社会ではほとんど影響力がない元首相の突出行為なのかもしれないが、東アジアの平和を望む韓日両国の国民にとっては、感動的な場面だった。日本が東アジアで信頼を獲得し、平和国家と認められるためには、「犠牲者コスプレ」はそれくらいにして、相手の立場から考える「易地思之」を学ぶべきだ。