現代自の年収、収益2倍のトヨタよりなぜ多い

2012年から「年収逆転」

■「現代自、雇用を柔軟化できなければピンチ」

 世界的にも自動車業界の労組の力は非常に強いが、世界の先進企業は異なる。「強硬労組」として悪名高かったトヨタは1950年、75日間の労働争議により倒産寸前の危機に陥った。トヨタの関係者は「このとき労組は、激しいストを起こせば会社が潰れかねないということを、経営陣は会社のビジョンを社員と共有することの必要性に気が付いた」と語った。

 トヨタの関係者は「その後、10年間の熟考期間を経て1962年に『労使宣言』を採択し、以降53年にわたり労使間争議は奇跡的に一度も起きていない」と説明した。トヨタは賃金交渉期間には300人余りの労使の交渉チームが3か月にわたりじっくり話し合い、臨時の会合などを開いて意見の差を細かく調整している。

 世界第2位のフォルクスワーゲン(VW)労組は2004年、生産コストの増加と販売不振により、純利益が前年比で約65%減少。このとき、雇用を保障する代わりに賃金据え置きと労働時間延長などを実施することで、11年までに20億ユーロ(現在のレートで2800億円)の経費を削減する再生計画を断行した。現代経済研究院のチョ・ホジョン上級研究員は「ドイツの労組は賃金と労働時間を譲歩するという雇用市場の柔軟化に同意したため、最近ではドイツ経済が第2の全盛期を迎えている」と指摘した。

 米国ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーも08年の経営破綻以降、労働者の賃金に差を付ける「二重賃金制(two-tier)」を導入し、雇用を柔軟化した。新入社員を中核業務従事者と非中核業務従事者に分け、賃金に約2倍の差を付けている。

 専門家たちは「現代自が世界3位以上に飛躍する鍵は、雇用の柔軟化を通じた価格競争力の確保にある」と指摘する。大手投資銀行ゴールドマン・サックスは今月初めに発表したリポートで「現代自は賃金上昇、生産性の低下、ライバル社のシェア拡大により構造的な困難に直面した」との見方を示した。トヨタは昨年、設備投資に1774億円、研究・開発(R&D)費用に1兆45億円を投資している。

 これは前年比でそれぞれ17.6%、10.3%の増加で、現代自の約2.5倍に当たる。価格競争力と共に品質もさらに改善されるという意味だ。カトリック大の金基燦(キム・ギチャン)教授は「現代自は労使が協力して柔軟な雇用文化をつくるべき。それができなければ、今後さらに深刻な危機に陥る可能性がある」と指摘した。

李恵云(イ・ヘウン)記者
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