ソウル市によると、ソウル市内の地下鉄換気口のふたは、歩行者が上に載ることを想定して作られているという。ソウル市の道路・鉄道設計基準は1平方メートル当たり最低350-500キログラムに耐えられるようにグレーチングを製造するよう規定している。少なくとも規定上は、一般の歩道橋(1平方メートル当たり350キログラム)よりも強度があることになる。
問題は、地下鉄の換気口でない、一般の地下換気口も同じだと思って今回のように致命的な結果が生じる可能性があるという点だ。一般の建物に設置されている地下換気口は地下鉄の換気口とは違い安全規定がない。グレーチングをどれだけ丈夫なものにするのかを定めた規定どころか、グレーチングを設置する必要があるかどうかさえも規定されていないのだ。江南大学のキム・グンヨン都市工学科教授は「歩道と高さが同じ換気口もあるし、膝くらいの高さのもの、2メートルくらいの高さのものもある。フェンスを設置したり、警告文を掲げたりしなければならないという規定もないのが実情」と言った。国土交通部(省に相当)関係者は「一般の換気口は一度に人がたくさん登って飛び跳ねることを想定していないため、別途に規定はない」と話している。
地下鉄の換気口と一般の換気口の区別が容易でない通行人としては、政府のこうした説明は無責任以外の何物でもない。昨年9月には京畿道富川市で花壇の掃除をしていた50代男性が換気口の上に落ちていたたばこの吸い殻を拾おうとして18メートル下に転落、死亡するなどの事故が相次いだ。このように危険な換気口が韓国の各地に幾つあるのか、政府は把握すらできずにいる。国土交通部関係者は「それは全国にトイレが幾つかあるのかを把握できないのと同じ」と言った。ソウル市の場合も、同市が把握しているのは地下鉄換気口の2418カ所、公営地下駐車場の換気口110カ所、電気・通信・上水道が通る区間の換気口252カ所の合計2780カ所だけだ。ソウル市関係者は「マンションや商業ビルなどの建物のうち、延べ面積2000平方メートル以上の地下施設がある所は全て換気口の設置が義務付けられているが、数までは把握できていない」と認めた。