地元のスーパーで韓国商品の販促イベントを見た。「韓国」という看板を制作して天井に設置し、韓国の飲食物を紹介する掲示物も張られていた。日本でよく目にする光景だ。今や日本で韓国食材は日常生活に溶け込んだようだ。キンパ、ビビンパ、トッポギ、冷麺、プルコギ、チャプチェ、コチュジャン、韓国のりなど、スーパーに行けば韓国食材はいくらでもある。テレビをつければ韓国ドラマが放映されている。台詞も韓国語そのままだ。学生たちはK-POPに合わせて踊り、カフェでは韓国の歌が流れている。韓国の歌手たちはよく日本にやってくるし、その客席は日本人でいっぱいだ。
民族の自尊心が満たされ胸が熱くなる。テーハンミングク(大韓民国)!しかしすぐ気がかりになる。日本人は本当に韓国が好きなのか。それなら日本政府はなぜ歴史問題で謝罪しないのか。なぜ徴用被害者への賠償を拒否するのか。
この矛盾を説明するためによく使われるのが「本音と建前」理論だ。「日本人は表向きは韓国が好きなふりをするが、本当は韓国が嫌い」ということだ。本当に? 実際は好きでもないのに無理に韓国食を口にし、ドラマを見る? どう考えてもおかしい。そこから出てくるのが、「政治家-国民分離論」だ。日本国民は韓国に友好的だが、日本の政治家たちのせいで韓日関係が悪化したというのだ。はたしてそうか。
現在、徴用問題や慰安婦問題に関して日本国内ではほぼ共通認識が形成されている。日本の5大新聞は左右のイデオロギーに関係なく、「最近の韓日関係悪化の一次的な原因は韓国にある」とどこも社説で主張している。左派系の野党でさえ「まずは韓国側が問題を解決すべきだ」としている。世論調査の結果をみても日本国民の約3分の2は徴用と慰安婦問題については政界やマスコミと意見が同じだ。
日本人は矛盾だらけなのか。この問題の答えを探すために同じ質問を自分たちにしてみたらどうか。
韓日関係が悪いのは昨日今日の話ではない。過去十数年にわたり日本に対する好感度は最悪だった。しかし日本を訪れる観光客は多い。コロナ前の日本への観光客は全体で年間ほぼ3000万人だったが、うち約700万人が韓国人だった。コロナによる規制が解除され日本ツアーはまた飛ぶように売れている。日本が嫌いと言いながら韓国人はなぜ日本に旅行に行くのか。
韓日関係が最悪となったここ数年の韓国の対応も日本人にはミステリーだ。国際政治の舞台で他国が韓国の言い分を聞かない場合、よく使われる手段が輸出禁止だ。通常は「制裁」といわれるが、簡単に言えば韓国の商品を使うなということだ。太平洋戦争が起こる直前、日本に対して米国が使った手段も「輸出禁止」だった。相手に経済的な苦痛を与え、それによってこちらの言い分を聞かせる外交手段の一つだ。
ところが韓国政府の高官は「竹槍を持とう」と言いながら輸出禁止はしなかった。政府次元で日本に打撃を与えるような措置は事実上全くなかった。当時の韓国ではビールや衣料などの消費財で市民によるボイコット運動が行われただけだった。