最近、韓日両国ではこうした韓日関係の流れを誤った歴史の過程だと見る認識がある。韓国では、政府があいまいな妥協をすることにより日本に法的責任を認めさせられなかったことが根本的な問題だと批判している。日本でも、韓国と妥協をしてはならないという声が強い。この際、若干の被害があっても、韓日関係の原則を確立すべきだという主張さえある。今回の判決により、両国で原理主義者の主張がいっそう強まりそうで、懸念される。
今この時点で、我々はこれまで韓日両国がしてきた努力を否定するよりも、教訓として受け入れる知恵を持たなければならない。韓日関係の歴史は相手を非難ばかりするものではなく、互いに共生できる解決策を見いだすものだった。今回の慰安婦判決は政府がどのような役割をするべきかについて課題を投げかけている。そして、強制徴用問題のように「司法府の判断だから」と文在寅(ムン・ジェイン)政権が「高みの見物」をしてはならないことも、この2年間の韓日関係が物語っている。
文政権は韓日関係を管理するためにも、すぐに日本との対話に積極的に取り組まなければならない。そして、日本との歴史和解を実現できる具体的な案を提示しなければならない。謝罪と反省が先だという主張ばかりでは日本を説得できない。長期的な視野で歴史和解ができる教育や象徴的な措置などが実現できるようにしなければならない。そのためには、何が国益になるのかを真摯(しんし)に考える必要がある。
政治的解決が難しくなったら、国際法で解決しようという意志も持つべきだ。最近の両国国民の感情は政治的な妥協を非難していることも念頭におかなければならない。日本政府は慰安婦判決に対して国際司法裁判所(ICJ)提訴を検討していると伝えられている。韓日両国が成熟した市民に生まれ変わるには、国際司法裁判所をひたすら拒否ばかりしてはならない。解決策がないのが問題なのではなく、意志がないから解決できないという点に留意しなければならない。
陳昌洙(チン・チャンス)世宗研究所首席研究員