日本軍慰安婦被害者たちが日本政府を相手取り起こした損害賠償請求訴訟で初めて勝訴した。韓国の裁判所による今回の判決は、植民地時代に対する日本政府の法的責任を認めたものだ。このため、1965年の韓日基本条約の根幹を揺るがすほど重要な契機となったのは間違いない。強制徴用問題でも、今まで認められていなかった軍人・軍属たちの日本政府に対する訴訟の可能性が生じた。「パンドラの箱」が開いてしまったということだ。
今回の慰安婦判決が2018年10月の強制徴用被害者判決以上に韓日関係に悪影響を与えるのは明らかだ。今後繰り広げられる韓日対立の結末は1965年の韓日基本条約の破たんにつながる可能性が高く、当分の間、韓日関係の雪解けを期待するのは難しい。このまま放置すれば韓日断交もあり得なくはないように見える。それにもかかわらず、韓日両国の感情対決は「最後までやってやる」という意地まで発動、関係悪化に対する危機意識すらない状況だ。
これまで韓日両国は、1965年の基本条約の不十分さを認識し、歴史問題について補完措置を取りながら関係を発展させることができていた。1960年代まで韓国に逆請求権を主張していた日本政府も、韓国の絶え間ない努力で譲歩してきた。日本軍慰安婦に対する強制性を認めた1993年の河野談話、1998年の金大中(キム・デジュン)-小渕韓日共同宣言、アジアの人々の被害と苦痛に謝罪する2005年の村山談話、2010年にはついに韓国に直接言及して謝罪した菅(かん)談話につながった。不十分だが、安倍首相でさえ2015年の韓日慰安婦合意で責任を認めた。韓国が日本に法的責任を道義的かつ人道的な面だけでも認めさせたことによって、韓日関係は発展することができた。