韓国政府は、北朝鮮のミサイルが韓国空軍の基地を破壊した場合に備えるという。韓国の空軍力の95%が陸上にある。十数機の戦闘機を載せる軽空母の戦力は5%にもならない。軽空母に使う6兆ウォンがあれば、戦力のほとんど全てがある空軍基地の防御力を画期的に高めることができる。射程距離が数百キロに達する超音速、極超音速対艦ミサイルの開発も早まる。もし中・日の空母が韓国の領海を脅かすのであれば、じきに開発される韓国の超音速対艦ミサイルを覚悟すべきだろう。ところが中・日は既に超音速対艦ミサイルを保有している。軽空母は作戦上の利得が少なく、危険は極めて大きい、6兆ウォン台の大型標的だ。
さらにとんでもないのは、軽空母用のF35B戦闘機を購入する一方、既存のF35A戦闘機の購入を後回しにするということだ。垂直離着陸機のF35Bは、値段がF35Aより実に50%も高いが性能はずっと低い。北朝鮮の地下バンカーを破壊する1トン級の大型爆弾は積むこともできない。作戦半径もはるかに狭い。韓国に必要なのは絶対的にF35Aだが、軽空母を配備するといってこの中心的戦略兵器の配備を先延ばしにするのだ。先延ばしにして、うやむやになるだろう。金正恩(キム・ジョンウン)が一番喜ぶニュースだ。
軽空母配備の発表は、日本がヘリコプター搭載護衛艦をF35B搭載軽空母に改造すると公表した後に出てきた。非専門的かつ幼稚な競争心理だと思う。高宗時代になぞらえるなら、「日本に比べて格好がつかない」というものではないか。実質的な作戦用なのか、虚勢用なのか。タイは虚勢用の空母を配備し、王室の儀典用として使っている。軽空母級のサイズの大型輸送艦「独島」は、既にアジア最大の「行事用」艦艇と呼ばれる。航海の日数より港に停泊している日数の方がはるかに長い。こんな船がもう1隻増えることになった。それでも、予算6兆ウォンを取ることになった海軍は喜び、反対すべき空軍は文大統領の顔色をうかがっている。ショー統領、ショー政権とはいうが、6兆-10兆ウォンを投じて、必要もなく軍の戦力を害する軽空母ショーをやるとは思わなかった。
楊相勲(ヤン・サンフン)主筆