韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、艦載機十数機の軽空母を配備するという。専門家らの反対でもたついているようだが、最終的に軽空母事業を強引に軍の中期計画に含ませた。韓国国民の税金6兆ウォン(現在のレートで約5700億円。以下同じ)台が投じられる事業だ。実際には10兆ウォン(約9500億円)を超えるだろう。このニュースを聞いて高宗の揚武号が思い浮かんだのは、この軽空母を巡る韓国軍の作戦上の所要が何なのか分からないからだ。空母は基本的に、広い海域の制空権を握るための戦力だ。米国、英国、旧日本、ロシア、フランス、イタリアなど海が広く、海外領土を持っていた国々に必要だった。最近中国がこれに加わっており、日本も空母再建に乗り出した。中国は海岸線の長さだけで1万キロに達し、日本はEEZ(排他的経済水域)が韓国の8倍を超える。九州から太平洋の南鳥島までの距離は1800キロに達する。韓国は、守るべき海が広くない。陸上基地から発進する戦闘機が東海、西海、南海のEEZのどこであろうと速やかに到達する。空中給油機の配備で独島、離於島も十分な作戦範囲内に入った。韓国そのものが空母なのだ。
韓国政府は、軽空母で東南アジア方面の海上交通路を保護するという。海上交通路の保護は、米国を筆頭とする国際社会全体の課題だ。マラッカ海峡のような海上交通路を遮断するとしたら世界に対する宣戦布告だが、今そんな国がどこにあるのか。軽空母一隻で海上交通路を守るというのも話にならない。空母は自らを守ることはできず、駆逐艦・潜水艦などと艦隊を組まなければならない。別途の早期警戒機も必要だ。北の脅威に対応するのも多忙な韓国が、こんなことをできるのか。何をしたくてこの巨額のカネをばらまくというのか。