【コラム】韓国に迫る「下流老人」問題の足音

 「天国へのお引越しのお手伝い」をうたう本の会社がある。家族や頼る人がいないため孤独死した高齢者の遺品を整理する「キーパーズ(Keepers)」という会社だ。引っ越し会社を経営していた吉田太一社長は、事故で両親を亡くした少女に頼まれて遺品整理を手伝ったのをきっかけに、2002年にこの事業を始めた。

 キーパーズの事業が急成長していた2010年末、東京で取材のため吉田社長に会った。日本各地に5つの支店を設け、年間1500件の遺品整理を担っていると言っていた。「機会があれば韓国にも進出したいです。一人暮らしの高齢者が増えている韓国は市場として急浮上していますから」と吉田社長は言った。当時、日本では孤独死が深刻な社会問題になっていたが、「世間から完全に疎外されたごく少数の人が経験すること」と受け止められている雰囲気が強かった。ところが、それから5年もたたない14年、NHKが老後破産問題を集中的に取り上げて報道して以降、雰囲気は一変した。

 人並みの暮らしをしていたのに、高齢になると貧困層に転落するというのが「老後破産」だ。食事を抜き、体の具合が悪くても病院に行かない、いわゆる「下流老人」はほとんどが普通の人々だった。20-30年間まじめに働き、貯金もそこそこあったが、平均寿命が伸びて、長い場合は40年間も節約し、年金だけを頼りにするため、破産を避けられないという。本人や配偶者が病気にでもなれば、通帳の残高があっという間に減る。不況も長引き、経済的に余裕がない子どもたちに頼ることもできない。

国際部=呉允熙(オ・ユンヒ)記者
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