『菜食主義者』が名誉ある受賞作となった背景には、翻訳家のデバリー・スミス氏の功績も大きかった。スミス氏は文学的感受性、卓越した文章表現力、そして韓国と英国の双方の言語と文化に深く精通した理想的な翻訳家だ。韓江氏の受賞は、韓国文学の世界化に優れた翻訳家がいかに重要かを改めて知らしめてくれた。
韓江氏のブッカー国際賞受賞は米国でも大きく報じられている。米国バンダービルト大学のヘレン・シン教授は「『菜食主義者』は今米国の各大学の英文科でも大きな人気を集めている」と伝えている。海外在住の韓国人ではなく韓国文学そのものに対し、米国の文学研究者や学生たちの関心も集まり始めている。これは韓国文学が世界の文学界の本流に加わったことを意味することであり、われわれに大きな勇気と力を与えてくれている。
韓国文学を世界に広める作業は文化体育観光部(省に相当)の韓国文学翻訳院、大山文化財団、KLマネジメントなどが協力して行っている。韓国文学翻訳院はこれまでKLマネジメントに所属する15人の作家の作品132編の翻訳を支援し、KLマネジメントはその原稿を持って海外の出版社などと交渉を行い、一方で韓国文学翻訳院と大山文学財団は主に海外の出版社と直接交渉し、韓国文学の出版を進めてきた。今回の受賞はこの3者の努力がついに大きな成果を出したことを意味する。ここにわれわれは大きな喜びを感じている。