朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は外交・安全保障分野における独自の構想を就任前から機会があるたびに語り、注目を集めてきた。その具体的な事例として朴大統領は2011年「信頼外交」をキーワードとする対北朝鮮政策を米国の外交専門誌『フォーリンアフェアーズ』を通じて発表した。また昨年は韓中日3カ国の緊張問題と関連し、日本の責任を主に強調する「アジア・パラドックス」という考えを公表した。
朴大統領は北東アジアの外交問題を解決するために提示したこの二つの構想について、同盟国である米国が支持するものと信じていたようだ。朴大統領は大統領就任以降、オバマ大統領をはじめとする米国の政府高官と会うたびに同じような内容を強く、また何度も主張してきた。実際に朴大統領が掲げる「信頼プロセス」構想については、米国も大きな意見の違いはないように感じられた。北朝鮮は金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長が「6カ国協議は永遠に終わった(2009年)」と発言したにもかかわらず、最近はこれとは反対に6カ国協議の再開を主張するなど態度を180度変えているが、米国は「信頼の置ける行動を先に取るべき」と要求している。
しかし日本の責任を強調するアジア・パラドックスに関して言えば、韓米両国の見方は大きく異なる。朴大統領は日本が誤った歴史認識を改めないのであれば、オバマ大統領が米日の協力関係を見直すことを望んできた。ところが米国はこれに対して否定的なだけでなく、最近はヘーゲル国防長官がソウルと東京を相次いで訪問した際、韓国側の思惑とは完全に異なるシグナルを発した。米日両国は3日に外交・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開催し、米国は安倍内閣が進める「集団的自衛権」の行使を明確に支持した。朴大統領はこれに大きく当惑した。
「韓国と日本の間でオバマ大統領は韓国側につく」という見方について、専門家の多くは「誤った認識」と指摘する。米日関係に詳しいある専門家は「米国は歴史問題と北東アジアの安全保障問題は完全に別と考えている」「朴大統領は『アジア・パラドックスに基づいて米国を説得すれば、米国は日本に圧力を加える』という考えは捨てるべきだ」と主張した。