ロシアが技術提供? 北朝鮮が建造中の原潜を公開しても沈黙守る韓国政府【12月26日付社説】

 北朝鮮は25日、現在建造中とされる8700トン級の原子力潜水艦を公開した。写真から10基の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)が装着可能と推定できる。外形はすでにかなり完成していることから、2-3年以内には実戦配備されるかもしれない。無期限の作戦行動が可能な原子力潜水艦はどこにでもひそかに移動できる。北朝鮮の新浦を出向した原子力潜水艦が米国本土の沖合に登場することもあり得るだろう。北朝鮮が原子力潜水艦を実戦配備すれば、戦場の様相や勝敗の常識を一変させるゲームチェンジャーになるはずだ。

【写真】北朝鮮が25日に公開した建造中の原潜

 公開された原子力潜水艦から技術面での進展も見受けられる。原子力潜水艦のエンジンとなる小型原子炉について韓国軍当局は「すでに搭載された」と推定している。北朝鮮は原子力潜水艦用小型原子炉の製造技術を保有しておらず、これまで公開したこともない。ロシアから技術支援を受けたか、ロシアの退役した潜水艦から取り外された原子炉を譲り受けた可能性も考えられる。原子炉が丸ごと譲り渡されたとすれば、ロシアは北朝鮮のSLBM搭載原子力潜水艦建造の時期を数年は前倒しさせたことになる。

 ロシアは北朝鮮によるウクライナ派兵の見返りに石油や食料はもちろん、さまざまな軍事技術を北朝鮮に提供した。中でも原子力潜水艦や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の再突入技術は世界の安全保障上の深刻な脅威として懸念が広がっている。ロシアが国際社会からの警告を無視し、これらの技術を北朝鮮に提供したとすれば、韓国国民にとって直接やいばを突き付ける敵対行為となる。越えてはならない「レッドライン」を越えたのだ。

 ただし今回北朝鮮が公開した原子力潜水艦は本来の機能を発揮できない可能性もある。北朝鮮は2021年に原子力潜水艦の設計が終わったと発表し、その後今年初めに外形の一部を公開した。今回も公開されたのは外側だけだ。武器を誇張して宣伝する北朝鮮の特徴から考えるとその性能も疑わしい。今年5月には北朝鮮版新型イージス艦「姜健(カン・ゴン)」が進水式で横倒しになるアクシデントも発生した。

 韓国としては最悪の状況を想定して覚悟を持って対応するしかない。ロシアからの技術提供が事実として確認できれば、強く抗議し制裁すべきだ。現在米国と協議を進めている原子力潜水艦建造も直ちに開始しなければならない。今から建造を開始しても実戦配備は2030年代中ごろだ。その間に北朝鮮の原子力潜水艦が韓国周辺で潜伏しても何の手立てもなくなる恐れがある。

 ところが今の韓国政府は北朝鮮原子力潜水艦の脅威について公式な立場を一切表明していない。北朝鮮とロシアの顔色をうかがうにも限度がある。安全保障上の脅威が高まる今の状況でいつまで口を閉ざすのだろうか。

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