「うちの地元には来ないで」 移転するたび反対運動に遭う脱北青少年向け学校、新たな用地見つからずピンチ /ソウル

脱北青少年向けの黎明学校、住民の反発で2回移転
廃校跡に落ち着いたものの近く契約満了に…移転先見つからず

 ソウル市江西区加陽洞にある黎明学校は、学校の看板を見つけるのが大変だった。黎明学校は脱北した青少年のための代替学校(オルタナティブスクール)で、2023年8月に、廃校した塩江小学校の跡地に移転した。しかし、校舎の外壁には「塩江小学校」という文字がそのまま残っており、黎明学校という名称は正門横の塀に小さく掲げられているだけだった。「脱北者の学校が我が町にあるなんて」という住民の反発を懸念し、移転作業も真夜中に行われた。校庭や付帯施設は使わず、校舎も1階と2階だけ使用している。

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 黎明学校は来年2月になると敷地の契約が満了となる。住民の反発によって2回の移転を余儀なくされ、ようやくこの地に落ち着いたのに、またしても移転しなければならなくなったのだ。チョ・ミョンスク校長は「代わりの土地が見つからない」「できる限り今の場所に長くいたかったのですが…」と話した。

 黎明学校は、一般の学校に適応できない脱北青少年のために、23の教会が協力して設立したもので、2004年9月にソウル市冠岳区奉天洞の大通り沿いにある商業ビルの一角で開校した。その後、生徒数が増えたため08年にソウル市中区の南山近くのビルに移転した。10年にはソウル教育庁から正式な代替学校としての認可を受けた。19年には校庭付きの学校にするためにソウル市恩平区の土地を購入しようとしたが、住民の強い反対にあって計画を断念した。脱北者を嫌悪する文言が書かれた横断幕が掲げられ、移転反対の陳情が区庁に相次いだという。ソウル教育庁(教育委員会に相当)の支援で23年にようやく旧塩江小学校の敷地の臨時使用許可を受けた。北朝鮮、中国、ロシアなどで生まれた脱北青少年101人がこの場所で中学・高校過程の教育を受けている。

 黎明学校は近くソウル市教育庁に土地の契約延長を申請する予定だ。しかし、今の建物には他の機関が入居する可能性が高いという。契約を延長できたとしても、27年2月までには他の場所を確保しなければならない。ソウル市教育庁の内部規定により、敷地の契約延長は1回のみ、期間は1年間と定められているからだ。ソウル以外の場所に移転すれば、ソウル市教育庁による正規の学歴認定が取り消されるため、京畿道に移転することもできない。学校関係者らは「生徒たちはこの場所に適応して熱心に学んでいるのに、またしても移転となれば、生徒たちにとってストレスになるだろう」と話した。

 チョ校長は「命懸けで脱北した青少年たちが韓国社会に適応し、大韓民国の国民として生きていくために支援する教育施設」だとして「韓国の子どもたちとして見てほしい」と話した。慶北大社会学科の盧鎮澈(ノ・ジンチョル)教授は「ソウル市、区庁、教育庁は敷地確保に向けて、住民との対話や合意形成ができるよう、関連機構の設立に積極的に動くべきだ」と指摘した。

ハン・ヨンウォン記者

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  • ▲黎明学校の正門。今月2日撮影。/ハン・ヨンウォン記者

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