米国のトランプ政権はトランプ大統領の肖像がデザインされた1ドル記念硬貨の発行を推進しているが、米野党がこれに待ったをかけた。
米政治専門紙「ザ・ヒル」が9日に報じたところによると、野党・民主党所属のジェフ・マークリー上院議員(オレゴン州)とキャサリン・コルテス・マスト上院議員(ネバダ州)は同日、現職の大統領や存命の大統領経験者が米国貨幣のデザインになることを阻止するための法案を発議した。
同じ民主党のロン・ワイデン上院議員(オレゴン州)とリチャード・ブルーメンソール上院議員(コネチカット州)も共同提出者に名を連ねた。この法案は「いかなる米国通貨にも、存命または在職中の大統領の肖像を登場させてはならない」と定めている。
米財務省は建国250周年を迎えるに当たり、トランプ大統領の肖像をあしらった1ドル記念硬貨を発行する方針を示した。財務省傘下の造幣局は、トランプ硬貨を発行するかどうかについて、早ければ今週中にも発表する予定だという。
米財務省が10月に公開した記念硬貨のデザイン案を見ると、表面にはトランプ大統領の横顔があしらわれている。硬貨上部の縁には「自由(Liberty)」という文字が、下部には「我々は神を信じる(In God We Trust)」という米国の公式な国家標語が刻まれている。裏面には、昨年7月の大統領選遊説中に銃撃を受けたトランプ大統領が、銃撃された直後に星条旗をバックに決然たる表情で拳を突き上げる姿が描かれている。上部の縁には、トランプ大統領が再び立ち上がる際に叫んだ「戦おう(FIGHT)」という言葉が3回繰り返して刻まれている。
民主党の議員らは法案の根拠として、米国で流通している貨幣に存命あるいは在職中の大統領が登場したことはないという点を挙げた。その上で、トランプ大統領を「独裁者」に例えて強力に批判した。
特にマークリー議員は、トランプ大統領を北朝鮮の金正恩総書記に例えた。マークリー議員は「トランプ大統領の自画自賛的な振る舞いは、米国ではなく北朝鮮の金正恩のような独裁者にこそふさわしい権威主義的行動だ」として「私たちは(トランプ大統領の)血税乱用について厳しく責任を追及し、『国民主権』の共和国を解体して独裁者国家を築こうとするトランプ大統領の試みを阻止しなければならない」と主張した。
キャサリン・コルテス・マスト議員も「君主たちは硬貨に自分の顔を刻んできたが、米国にはこれまで王がいたことはなく、今後も王はいないだろう」として「私たちの法案は、存命の大統領の顔を硬貨には入れないというこの国の長い伝統を法制化するものだ」と説明した。
ただし、上院・下院とも多数を占めるのは共和党であり、トランプ大統領が強い影響力を行使しているため、この法案が実際に法律として制定される可能性は高くない。ザ・ヒルは、共和党のジョン・スーン院内総務(サウスダコタ州)がこの法案の表決スケジュールを定める計画がなさそうだと報じた。
パク・ソンミン記者