韓国公務員射殺事件 文在寅政権時代の閣僚3人に求刑懲役2~4年

検察「自ら北に渡ったとして資料を操作」
3被告「虚偽の報告書を作ったことはない」

韓国公務員射殺事件 文在寅政権時代の閣僚3人に求刑懲役2~4年

 北朝鮮による西海公務員射殺事件を隠蔽(いんぺい)し、自主的に北に渡ったという形に仕立てた疑いで起訴された徐薫(ソ・フン)元韓国大統領府国家安保室長に対し、検察が5日、懲役4年を求刑した。また、共に起訴された朴智元(パク・チウォン)元国家情報院長に対しては懲役2年と資格停止2年、徐旭(ソ・ウク)元国防相に対しては懲役3年をそれぞれ求刑した。金洪熙(キム・ホンヒ)元海洋警察庁長には懲役3年、ノ・ウンチェ元国家情報院長秘書室長には懲役1年および資格停止1年を求刑した。2022年12月の起訴から3年を経ての求刑だ。

 この事件は2020年9月、西海で海洋水産部(省に相当。以下同じ)公務員のイ・デジュンさんを北朝鮮軍が殺害し、遺体を焼却したというもの。当時、文在寅(ムン・ジェイン)政権の大統領府と国家情報院(韓国の情報機関。国情院)、国防部などは「イさんが自ら北に渡って事件が起きた」という暫定結論を下したが、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権になった後、監査院の監査と検察の捜査を経て徐・元室長など5人が裁判にかけられた。

 ソウル中央地裁刑事25部(裁判長:池貴然〈チ・グィヨン〉部長判事)は5日、徐・元室長などの職権乱用等容疑事件に関して結審公判を開いた。この日の公判で検察は「徐薫・朴智元・徐旭の3被告はイさん死亡の直後に会議を開き、イさんが殺された事実は隠して、自ら北に渡ったものとして操作すると決心した」「その後、国防部と海洋警察はイさんが北に渡った状況を収めた資料を捏造(ねつぞう)し、国情院は関連の情報報告書を全て削除した」と指摘した。さらに検察は「イさんが殺されたのは文・元大統領が国連総会で南北和解および終戦宣言関連の演説を行う3時間前のことで、安保室は対北朝鮮政策失敗の世論を恐れてイさんを越北者に仕立てた」「(当局が)救助を試みていれば、北朝鮮軍がイさんをあえて殺すことはなかっただろう」とした。

 逆に、徐・元室長側は「この事件は前政権攻撃のために(尹錫悦)大統領室で結論を決めた捜査」だと反発した。徐・元室長側は「イさんが発見された場所は北朝鮮の水域であって救助するのは難しく、対策会議当時、殺害隠蔽を指示した事実もない」と主張した。朴・元院長は最終弁論で「国情院は私が(情報)削除を指示した事実はないと国会に報告した」として無罪を主張した。徐・元国防相側も「当時は越北だと思った」「バックブリーフィング資料は虚偽ではなかった」とした。3人が組織的に、イさんが自主的に北に渡ったように見せかけたり、これに関する事実を隠蔽しようと資料を削除したりした事実はない、という主張だ。李在明(イ・ジェミョン)政権発足後、監査院はいわゆる「運営刷新タスクフォース(作業部会)」をつくって、この事件の監査院監査を調べ直している。

 イさんの実兄のイ・レジンさんは5日に法廷で「行方不明の通報の直後に救助・捜索放送をきちんとしていれば弟は生きていた可能性が高い」とし「厳しい審判をしてほしい」と求めた。被告らに対する判決公判は12月26日に開かれる。

イ・ミンジュン記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 韓国公務員射殺事件 文在寅政権時代の閣僚3人に求刑懲役2~4年

right

あわせて読みたい