石破首相の「戦後80年所感」、日本では反応が冷ややかな理由【寄稿】 朝鮮日報

退任を控えた日本の首相のメッセージ、四つの問題点

 第二に手続きの面で問題がある。本来首相が歴史談話を出すには少なくとも6カ月前から専門家会議を招集して知恵を集め、草案ができれば党と内閣で回覧し意見を集めねばならない。その過程で反対があれば忍耐を持って意見を聞き取る政治的な力量が必要だ。石破首相はこれらの手続きを省き突然個人の意見として長い所感を発表した。これでは党内から好感が得られるはずがない。

 第三に現実性の問題だ。石破首相が指摘した問題点は歴史研究者にとっては重要だが、これが果たして今の日本にとってそれほど重要な問題なのか。現行の自衛隊法第7条には自衛隊に対する首相の指揮監督権が明記されており、かつての「二重構造」はかなり前になくなった。現在自衛隊の最高司令官は天皇ではなく首相だ。しかも1945年の時点で旧日本陸軍だけで600万人いたが、今の自衛隊は陸海空合わせても25万人ほどで、それでも定員に2万人も足りない。日本の若者が自衛隊に就職したがらないからだ。そのため軍の暴走が果たして今の日本の直面する現実の問題と言えるか疑問だ。

 最後に実行という問題だ。石破首相は自ら所感で表明した歴史の教訓を実践しているのか。石破首相は所感の中で排外主義の危険性を警告したが、これは退任直前の所感で訴えるべき内容ではない。すでに米国や中国で広がる排外主義やブロック化に対する日本の首相としての意見を表明し、開放的な国際秩序の強化に向け日本が国際的なリーダーとして何をすべきかビジョンを提示し、それを実行に移さねばならない。また石破首相は民主主義の重要性も同時に強調したが、談話に対する党内からの反発が予想されていたなら首相として積極的に説得する指導力を示すか、あるいは国民に向け事前に直接訴えるべきだったのではないか。退任表明後に突然一人で所感を読み上げることが民主主義の実践なのか。

 歴史から教訓を得ると語る石破首相の考えには積極的に同意したいが、日本国内で前向きな反応が得られない石破首相の姿を見ると残念でならない。これは上記の四つの理由が影響している。改めて言うが、口にするのは簡単だがそれを実践するのは常に難しい。

チャン・ブスン=関西外国語大学国際関係学科教授

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