■クルーズ船から中国人観光客1700人下船も…クルーズ客は今年初めから「ビザ免除」だった
ホテルもさほど事情は変わらない。コートヤード・バイ・マリオット・ホテルは、中国版インスタグラム「小紅書(RED)」で活動するインフルエンサーたちを招待するなど、ビザなし入国の観光客を取り込むためのPR活動を展開した。しかし、同ホテルの関係者は電話取材に対し「中国人の団体観光客は、現段階では体感的にはそんなに増えてはいない」と話した。あるインバウンド向け旅行会社の関係者は「中国人観光客の入国はまだ増えていない」と話した。
中国人団体観光客のビザなし入国が始まった9月29日、仁川港にはクルーズ船「ドリーム号」が入港し、乗船していた中国人観光客1700人が一斉に韓国に入国した。しかし、ある旅行会社の関係者は「クルーズ船の観光客は今回のビザなし政策の対象ではない」と話した。
韓国政府は今年から試験事業として、クルーズ船会社が募集した団体観光客には最長3日間のビザなし入国を認めている。韓国保守系野党「国民の力」の朱晋佑(チュ・ジンウ)議員(釜山・海雲台甲選挙区)が法務部に建議して導入された。
■中国人観光客も個人旅行にシフト…「ビザ免除でも団体ツアーに参加するのは嫌」
このように、中国人がビザ免除という優遇措置にさほど関心を示していないのは、希望の観光スタイルが団体のパッケージツアーではなく個人での観光にシフトしたからだ。パッケージツアー商品を利用した場合、団体でバスに乗り、ツアーコンダクターの後について主な観光名所を見学し、食事も決められた飲食店で食べなければならない。
しかし、個人旅行で来れば、ソウルの聖水洞や漢南洞、弘大前にあるオシャレなカフェなど、SNS(交流サイト)で人気のホットな場所を訪れることができる。ショッピングやエステなど個別観光にも有利だ。明洞で出会った20代の中国人女性観光客Bさんは「ビザなしで入国するためにはパッケージツアーに参加しなければならない。それは嫌だ」と話した。
これまで済州島を除き、中国人観光客は韓国に入国する際にはビザを取得しなければならなかったが、およそ8割は済州島ではなく別の地域を訪れている。韓国を訪れる外国人観光客のうち、1位は中国人だ。今年1-8月には318万人が韓国を訪れた。昨年に比べ17.3%増えており、外国人観光客全体の増加率(16.0%)よりも高い。
仁川研究院によると、2023年基準で韓国を訪問した中国人のうち95%が個人の旅行客で、団体観光客は4.7%にすぎなかった。航空券とホテルだけがついたパック商品を利用した人は0.3%だ。仁川研究院は、訪韓観光をけん引しているのは中国の20-30代で、観光トレンドが変化してきていることと関連があると分析した。
ユ・ビョンフン記者、イ・ホジュン記者