韓国車は今年4月までは、韓米自由貿易協定(FTA)によるゼロ関税の恩恵を受けていた。日本車と欧州車には2.5%の関税が課される仕組みの中で、韓国車は価格競争力を保つことができた。しかし、来週から日本車に15%の関税を適用されることになれば、韓国車は日本車より10%高い関税を払わなければならない。これを全て価格に反映すれば、韓日で自動車価格の逆転現象も起こりかねない。例えば、現在、現代自アバンテは米国内での販売価格が2万2125ドルからで、トヨタ・カローラ(2万2325ドル)より安い。しかし、韓国車(25%)、日本車(15%)に課される関税を反映して価格を引き上げるとすると、状況は一変する。 アバンテは2万7656ドルになり、カローラ(2万5674ドル)より高くなる。韓国車メーカー関係者は「日本の自動車メーカーがシェアで有利な地位を占めることになるだろう」と述べた。
韓国証券業界は関税による現代自の第3四半期の利益減少分が1兆ウォンを超えると試算している。SK証券はリポートで「第3四半期の関税費用だけで現代自は1兆ウォン、起亜は9000億ウォン、現代モービスは800億~900億ウォンに達すると推定される」と分析した。
■再び追い詰められる韓国
日本に対する大統領令署名で、韓国は追い込まれた状況になった。欧州連合(EU)に対しても、自動車関税を15%に引き下げる内容の大統領令が署名される見通しになっている。これに対し、韓国は農畜産物市場の開放と対米投資ファンドの具体的な創設方式、デジタル貿易問題などで米国との意見対立を解消できずにいる。
農畜産物が代表的だ。米国は韓国にコメ市場の開放拡大を要求し続けているが、韓国政府は農民の反発などを懸念し、受け入れは難しいとの立場だ。韓国貿易協会のチャン・サンシク国際貿易通商研究院長は「韓米両国は農産物市場開放で懸案の調整に難しい部分があると理解している」と話した。
韓国政府が米国に約束した2000億ドル規模の対米投資ファンドの創設方式を巡っても、意見の隔たりが大きいとされる。米国は自国が直接投資対象を決める方式を希望しているのに対し、韓国政府は貸出・保証を含む「金融パッケージ」のコンセプトでアプローチしているからだ。
チョ・ジェヒョン記者、ハン・イェナ記者、チョン・ジュンボム記者