米政府が持つことになる持分自体は少数にすぎない。また、ラトニック商務長官は「補助金で取得した株式は議決権を持たないだろう」と述べた。経営には直接干渉しないという趣旨だ。だが、半導体業界では米政府が企業の重要な意思決定に参加できる「黄金株」に似た権限を確保するも同然だ分析している。トランプ政権は今年6月、日本製鉄によるUSスチール買収を許可するに当たり、会社の重要な決定に拒否権を行使できる黄金株確保を貫いた。半導体業界関係者は「米政府は自国に半導体企業を誘致するだけでなく、手中に入れて影響力を行使するという狙いがある。個別企業に対する支配力強化、自国の半導体生態系強化、中国けん制加速という『三兔(さんと)』を得ようとしている」と分析した。ウォールストリート・ジャーナルは「企業国家主義が良い結末を結んだことはほとんどない」と書いた。
■実現可能性に疑問
米政府の補助金を信じ、人件費が高く、熟練度でも劣る米国に新工場の建設を決めた半導体メーカーは当惑している。サムスン電子やSKハイニックスは投資を撤回して補助金を受け取らない方法もあるが、トランプ関税の標的になり得る。トランプ大統領は米国に工場を建てなければ、半導体に最大300%の関税を課すと表明したことがある。テスラ、アップルなど米国のテクノロジー企業からの受注が途絶える可能性も高い。KAISTの金楨浩教授は「米国企業の再生が容易ではないため、韓台の半導体企業を通じ、中国に対抗する半導体覇権を主導しようという意図も垣間見える」と話した。
トランプ政権の構想が現実になるかについては懐疑的な見方が多い。韓国半導体産業協会のアン・ギヒョン専務は「議会で半導体支援法を改正する必要があるが、トランプ大統領だけでなく米国に対する信頼失墜につながりかねず、トランプ政権の構想は現実性を欠く」と述べた。産業研究院のキム・ヤンペン専門研究員は「トランプ政権が半導体補助金を廃止しようとする意図と解釈可能だ。対米投資計画の修正を含め対米交渉で主張を強めるべきだ」と話した。
キム・ソンミン記者、ユ・ジハン記者