■店舗数は維持
マクドナルドはハンバーガーの販売が副業で、本業は不動産と言われるほど世界各国に不動産を保有しています。保有規模は300億ドルをはるかに超えると報じられたこともあります。世界の主要都市の一等地の店舗を購入した後、加盟店に高く賃貸する形で収益を上げているのです。数十年間営業をして店舗価値が十分に上がると、売却して差益を得ることもあります。
マクドナルドは1975年の香港進出後、中心部に25店舗を保有し、2021年にうち2店舗を売却しました。しかし、今回のように保有物件を全て処分するのは初めてです。香港経済日報は「マクドナルドが今年初めから売却を準備してきた。8店舗の売却入札の反応が良ければ、来年には残る物件も全て売却するだろう」と伝えました。
今回の売却でマクドナルドが香港から撤退するわけではありません。マクドナルドは2017年、中国中信集団(CITIC)のコンソーシアムに中国本土・香港地域の20年間の営業権を売却し、店舗網は中国資本によって維持されます。香港には256カ所のマクドナルドの店舗があり、雇用人数は1万5000人に上ります。
■米商務省、香港資産の処分勧告
マクドナルドは今回の売却について、「グループ内の不動産ポートフォリオを調整することが目的」としています。地元ではマクドナルドが不動産価格がさらに下落するとみて売却に乗り出したのではないかという観測が有力です。香港の商業用不動産市場は2022年からの2年半で下落率が累計26.6%に達するほど下落傾向が顕著です。
単なる商業的な動機ではなく、政治的考慮が作用したという分析も出ています。地場経済メディア「etnet」のコラム「魚缸博客」は「マクドナルドは現在よりも相場が下落した2003年SARS流行時にも店舗を売却しなかった。政治的考慮があると考えるのが合理的だ」と分析しました。香港にあるマクドナルド店舗が米中衝突時に中国の政治的カードになることを防ぐために、相場が良い時に売却する意図だとの見方です。
フランスの国際放送ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)も「米商務省は数年前から香港にある米国の大企業に香港の資産処分を検討するよう勧告してきた」とした上で、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)も昨年3月、香港勤務の職員が国家安全法に関連して中国の交渉カードにならないよう、香港支局を閉鎖したと指摘しました。
崔有植(チェ・ユシク)記者