韓国野党・国民の力 エリート数名による「反極右連帯」【鮮于鉦コラム】

 保守ならば、こうした世の中に注目しなければならない。今トランプ米大統領が行っている政策が右派ポピュリズムだ。トランプ政権は「白人の狂気」なのか。トランプ氏さえ消えれば世の中も「正常」に戻るのだろうか。実際米国の保守主義と右派ポピュリズムの連帯は、トランプ氏よりはるか前の1970年代後半に始まった。韓国の保守エリートが称賛するヘリテージ財団が主導した。同財団が刊行した保守の指針書「リーダーシップの指針」の序文は、読む人が読めば直ちに「極右」と言うであろう内容だ。右派ポピュリズムの好戦性が露わになっており、自由闘士の「出師(すいし)の表(出陣声明)」のようだ。

 日本も同様だ。安倍元首相による政権奪還と8年にわたる長期政権も、自民党の保守主義に若い右派ポピュリズムを吸収したために可能だった。7月の参院選における極右政党の躍進は、安倍首相後のリーダーシップの崩壊で起きたことだ。保守と右派ポピュリズムが分化し、自民党は惨敗した。こうしたやり方が正義なのか、不義なのかは別問題だ。日米の保守はそうやって生存し、進化し、失敗してきたのだ。

 右派ポピュリズムは死なない。社会の分化を反映しているからだ。米国の製造業と共にに崩壊したアパラチア中間層、既得権の親世代と徹底的に断絶した日本20・30代の下流社会などだ。日米の保守政党は彼らの劣等感と喪失感をなだめた。勤務時間週52時間上限制、週4.5日勤務、定年再延長などで、韓国は政府と労組による共同支援の下、大企業正規職12%による天国に変わりつつある。残りはアパラチア下流社会の見放された境遇と似ている。私が国民の力のエリートならば、反極右ではなく、韓国社会の88%を占めるアンダードッグ(弱者層)の保守化に死活をかけるだろう。日米の保守が支持層を広げた方法だ。

 海外の例を見るまでもない。韓国ではポピュリズム傾向のアウトサイダー政治家が不正選挙のデマ、狂牛病(BSE)扇動勢力、過去の主体(チュチェ)思想信奉者、不動産投機家、ビッグテックや財閥、一時「極右」と言われた論客まで結びつけ、史上最強の権力を創出した。前科もパワハラも関係ない。そんな政権の支持率は60%だ。ソウル大法学部・医学部出身のエリートたちはそんな政治を終わらせたいことだろう。しかし、彼らより先に滅びたのが、彼らが信奉する純潔なエリート保守主義だ。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)記者

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