対米輸出全面ストップ、利益をあきらめて持ちこたえる中国の工場【ルポ】

 対米輸出顧客が多い工場と卸売業者は利益を放棄して持ちこたえるしかない状況だ。高陽県最大の繊維問屋街である「高陽商業貿易城」に入居しているSさんは「皆が原価を下げなければ、生き残ることができない」と話した。Sさんは「工場は人件費を減らして原価を下げ、卸売業者の私たちと(ここで商品を買っていく)輸出業者も価格を下げなければならない。そうやってようやく関税を相殺できる」と話した。前出の工場長は「(営業を担当している)妻にひとまず資金が残らなくても顧客が要求する品質と計画に合わせるよう伝えた。1、2カ月間は稼げなくても構わない。工場を維持することさえできればいい」と述べた。

 だが、彼らが米中貿易戦争を長期間耐え抜くことは難しい状況だ。米国に代わるを顧客はいないためだ。前出の工場長の場合も生産量全体に占める対米輸出の割合が半分以上を占める。中国政府は米中貿易戦争がエスカレートすると、「中国が巨大な経済規模を持つ点を忘れてはならない」とし、内需市場に注目するよう呼びかけているが、取材で会った卸売業者や工場関係者は国内で新しい顧客を探す選択肢は考えていないと話した。ある卸売業者は「国内市場の場合、(消費低迷で)価格競争が激しすぎて生き残れない」と話した。中国国家統計局によると、昨年の衣類、靴、帽子、織物の1人当たり消費支出額は前年比0.3%の伸びにとどまった。

 中国の中小工場の悲鳴は、高陽県だけでなく、全国から上がっている。 米自由アジア放送(RFA)は18日、中国の浙江省、江蘇省、広東省など主な輸出地域で工場がメーデー(5月1日)連休から操業を中断し、長期休暇に入るところが多いと伝えた。勤務時間を短縮した工場が続出しているほか、従業員は在庫処理のために親戚や知人を動員しているとされる。浙江省、江蘇省、広東省などの貿易業者の工場で10年以上管理職として働いたという人物はRFAのインタビューに対し、「こんな経済状況は数十年間なかった」と語った。

 米中貿易戦争はトランプ大統領と中国の習近平国家主席のプライド争いに発展し、火消しは容易ではない。米ホワイトハウスは15日、トランプ大統領の就任前に適用されや個別品目の関税も含めれば、中国に対する関税率が最大245%になると説明した。これに対し、中国外務省は17日、「もし米国が関税の数遊びを続けるとしても無視する」とし、「米国が意地を張り、中国の権益を実質的に侵害し続けるならば、中国は断固として反撃し、最後まで対抗する」と表明した。トランプ大統領は習主席の降伏宣言を待っているが、その可能性は低いという見方が支配的だ。

保定(中国河北省)=イ・ユンジョン特派員

【写真】閑古鳥が鳴くタオル卸売街(河北省保定市高陽県)

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