尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が憲法裁判所の決定で罷免された後、進歩(革新)系最大野党「共に民主党」と労組など左派陣営を中心に、保守系与党「国民の力」をはじめ保守陣営を「内乱勢力」と決め付ける攻勢が強まっている。
【表】尹錫悦政権3年間を「内乱」の構図にはめ込む韓国左派陣営
左派陣営では、憲法裁判所が憲法と戒厳法に違反したと判断した「12・3非常戒厳の6時間」だけでなく、尹・前大統領の在任期間3年を事実上「内乱統治期間」と決め付け、関連政策などに対する「清算」を主張し出した。加えて、戒厳解除後の韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行など韓国政府関係者の意思決定を巡っても「内乱同調行為」だとして、今回の大統領選挙を内乱終息の契機にすべきだとした。国民の力などからは「大統領選挙を有利な構図に引っ張っていくため、尹錫悦政権の期間全体を内乱のフレームに結び付けようとするもの」という声が上がった。
民主党の夫勝粲(プ・スンチャン)議員は4月8日、党院内対策会議で「尹錫悦罷免は12・3内乱終息ではなく、信号弾に過ぎない」として検察、国家情報院(韓国の情報機関)、大統領室、大統領警護処などに対する捜査を求めた。尹錫悦政権の権力機関に対する一種の「積弊清算」を求めたものと解釈されている。民主党では、尹・前大統領の罷免後、大統領が憲法裁の弾劾認容で職を喪失した場合には大統領の捜査に関連する大統領記録物について保護期間を設けずに公開できるようにする大統領記録物管理法改正案も発議している。事実上、尹錫悦政権の3年間の記録物をいつでも開けてみて捜査するつもりであることを意味すると解釈されている。
民主党は、韓悳洙代行の権限行使を巡っても「内乱」だと攻撃している。4月18日に退任する、大統領指名分の文炯培(ムン・ヒョンベ)、李美善(イ・ミソン)憲法裁判官の後任として、韓代行は李完揆(イ・ワンギュ)、咸尚勲(ハム・サンフン)両人を候補者に指名した。すると全賢姫(チョン・ヒョンヒ)民主党最高委員は4月9日の党会議で「内乱勢力が憲法裁を掌握しようとする陰謀」だと発言した。韓代行は尹大統領の戒厳宣布に反対したが、民主党は「内乱代行」だと攻撃し、彼の権限行使は「第2の内乱画策陰謀」だと主張した。先に民主党は、自分たちが推薦して国会で選出した馬恩赫(マ・ウンヒョク)憲法裁判官の任命を求めていたときは、韓代行に向かって「任命しないなら内乱首謀者」だと言っていた。