国会の弾劾訴追のやり方やプロセスは適法ではないという尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領側の主張に対し、憲法裁判所は4日、「全て問題ない」という結論を下して弾劾を認容した。憲法裁は「内乱罪撤回」、検察調書の証拠能力、非常戒厳宣布に対する司法審査など、手続き的な争点に関して何ら瑕疵(かし)はないと結論付けた。
■中心的な弾劾事由「内乱罪」を省いてやった憲法裁
憲法裁は4日、尹大統領を弾劾する際に内乱罪に該当するかどうかは判断しなかった。国会の弾劾訴追書には「刑法上の内乱罪」が弾劾事由として明示されているが、これを省略して憲法と戒厳法への違反のみを問いただしたのだ。先に国会側は、迅速な裁判のために内乱罪の撤回を要求し、憲法裁は立場を全く明らかにしなかったが、宣告に当たって国会側の主張を受け入れた。
憲法裁は「国会が刑法上の内乱罪撤回を要求するのは、基本的な事実関係は同一に維持しつつ適用法条文を撤回・変更することにすぎない」「特別な手続きを経なくても許容される」とした。また、弾劾訴追書に刑法違反が明示されていても憲法裁が任意に取り除いて判断できる、とも結論付けた。
尹大統領側は「内乱罪がなかったら弾劾案は国会を通過しなかっただろう」と主張したが、憲法裁は「客観的根拠がない仮定的な主張にすぎない」として受け入れなかった。
■軍人らの「検察調書」も証拠として認定
尹大統領と李鎮遇(イ・ジンウ)前首都防衛司令官、呂寅兄(ヨ・インヒョン)前防諜(ぼうちょう)司令官などが憲法裁の審判廷で否認した検察の調書や起訴状の内容も、証拠として認定した。尹大統領側は「当事者が同意しない検察調書は証拠能力がない」という2020年改正刑事訴訟法を根拠に挙げて反発したが、憲法裁は受け入れなかった。「刑事裁判と憲法裁判は性格が異なる」という理由で、弾劾審判が準用する刑事訴訟法には従わないとする従来の立場を固守したのだ。
憲法裁は、決定文でも「供述の過程が映像で録画されたり、供述の過程に弁護士が立ち会って問題ないと確認した調書なので、証拠として採択する上で問題はない」と表明した。
これについて、憲法裁のある関係者は「検察の調書や国会の会議録にのみ出てくる内容は決定文に盛り込まなかった」とし、「証人が法廷で証言した部分だけ証拠能力を認めて決定文に入れた」と伝えた。