山林庁は昨年公表した「2023年春季全国同時多発山火事白書」で「全国各地で発生する山火事を防ぐためには、容量5000リットル以上の大型ヘリが少なくとも24機必要だ」との判断を示した。全国の山林を12区域に分け、2機ずつは割り当てる計算だ。しかし、今年山林庁が追加導入したのは中型ヘリ2機にとどまる。
山林当局関係者は「大型ヘリは1台当たりの価格が500億ウォン(約51億円)を超える上、発注しても導入まで3年以上かかる」と話した。例えば、シコルスキーS-64は1機505億ウォンに達する。大型ヘリの生産国も米国、ロシア、フランスなど少なく、物量不足問題が深刻だ。
高玘演(コ・ギヨン)韓国山火事学会長は「大型ヘリを十分に導入するまで一時的に軍のヘリを改造して使う方策を考えるべきだ」と提言した。山火事の被害が多い米カリフォルニア州は、州防衛軍に「消防専門チーム」を設けて待機している。山火事が頻繁に発生する時期には、ブラックホークやチヌークを山火事消火用に使う。
山火事の際に消防隊員として現場に投入される山火事監視員の専門性不足を指摘する声もある。毎年短期雇用で募集しているため、高齢者の働き口になっている。2022年現在で韓国の山火事監視員の平均年齢は61歳だ。又石大消防防災学科のコン・ハソン教授は「山火事監視員に対する専門教育を強化し、勤務形態を無期契約職に変えれば、志願する青年が増えるだろう」と述べた。
■針葉樹を減らし広葉樹を増やそう
針葉樹は油脂成分である松やにを含むため、山火事が発生すると、火をたきつける役割をする。松やにの主な成分は,燃えやすい炭化水素「テルペン」だ。松やには電気が発明される前はたいまつの燃料として使われたほど引火性が高い。国立山林科学院の研究結果によると、松は広葉樹に比べて1.4倍熱く燃え、火が持続する時間も2.4倍長い。
韓国は針葉樹林が広い。山林庁によると、全国の山林(629万8134ヘクタール)のうち針葉樹林が占める割合は36.9%で、広葉樹(31.8%)より高かった。韓国は硬い花崗岩地盤が多く、昔から松のような針葉樹がよく育った。針葉樹は広く根を張り、硬い土地でも育つのに対し、広葉樹は柔らかい土地で育つ。根が下に深く延びる性質があるためだ。
今回大きな被害を受けた慶尚北道義城郡と安東市も地盤が固い地域で、針葉樹が多い。山林庁関係者は「慶尚北道の山林に行くと、土を3~4センチだけ掘っただけで硬い地盤が出てくるほどだ」と話した。安東市の針葉樹林の割合は52.9%で、全国平均より16ポイント高く、義城郡も針葉樹林が51.4%を占める。
専門家は今回焼けた地域について、広葉樹に木の種類を変更する方策を探るべきだと指摘する。
さらに、間伐作業も重要だと助言した。間伐は木を間引くことを指す。山林当局関係者は「山林が過度に密集すれば山火事が早く広がる。間伐をすれば雑木が減って消火作業も容易になる」と話した。山清郡の山火事では、木と茂みが絡み合い、消火に時間がかかったという。
江原大山林科学部のチェ・ヒムン教授は「文化遺産が近隣にあるか、山火事の危険が高いところでは、間伐で木の間隔を空け、日本のように防火林を設けなければならない」と話した。日本では山火事の被害を減らすため、燃えにくい樹種を選んで防火林を設置する。防火林としては主にアベマキ、カシワ、ブナなどを多く用いる。針葉樹の間にこうした防火林を混ぜて植林しても効果があるという。
パク・チンソン記者、キム・ヨンウ記者、蔚山=キム・ジュヨン記者