ロマンか、それとも酷使か…韓国プロ野球、キウム・ヒーローズの新人投手、チョン・ヒョヌ(18)がプロ初登板で122球を投げ、議論の渦中に立たされている。高卒新人投手の初登板の投球数としては34年ぶりの多さだ。かつては、投手が投球数やケガに関係なくマウンドを守り続けるのが一種の「ロマン」のように考えられていたが、投球数の管理が一般的になった最近の傾向からすると異例のことで、「選手をきちんと守っているのか」という声が多い。
【写真】球場内プールや高さ8メートルのグリーンモンスターを設置したハンファの新球場
2025年の新人選抜ドラフトで全体1位だったチョン・ヒョヌ。26日の起亜タイガース戦で先発投手として出場し、5イニング投げて6失点(自責点4)・8被安打・7四球を記録、初登板での先発勝利を手にした。満足できる内容ではないが、17点取ったチーム打線のおかげで、韓国プロ野球史上12人目の高卒新人初登板における先発勝利を果たした。
チョン・ヒョヌは最高球速が時速147キロメートルのファストボールにカーブやフォークボールなど変化球をたくみに織り交ぜ、起亜打線を相手に4三振を奪った。チョン・ヒョヌはキウム球団史上3番目(張裁栄〈チャン・ジェヨン〉9億ウォン〈約9300万円〉、安佑鎮〈アン・ウジン〉6億ウォン)に多い契約金5億ウォンという、期待の新人投手だ。昨年の高校最後のシーズンにも48と3分の1イニングを投げ、8勝・70奪三振・防御率0.75と「即戦力」が期待される活躍を見せた。
しかし、勝利より注目を集めたのは投球数だった。チョン・ヒョヌは同日、4回までで93球を投げた。初登板にしてはやや多いため、多くの人々が「もう投げるのをやめて降板するだろう」と予想した。ところが、チョン・ヒョヌは5回にもマウンドに上がった。キウムが11-4とリードしており、あと1イニング無事に抑えれば勝利投手の資格が得られるだろうとの計算だった。しかし、5回にさらに29球を投げて結局122球となり、6回に交代した。これは、これまで高卒で入団した新人投手のうち、初登板最多投球数で2位に当たる。2006年の柳賢振(リュ・ヒョンジン、109球)、1998年の金守経(キム・スギョン、120球)をも上回る数字だ。昨年はロッテ・ジャイアンツのアーロン・ウィルカーソン(35)が117球で最多投球数を記録したが、これも上回った。
チョン・ヒョヌは「5回まで責任を持って抑えたかった」と語った。キウムの洪源基(ホン・ウォンギ)監督も「投球数が多くて悩んだが、5回まで球威や体力が落ちる様子がなかったし、選手の意志も考慮した」と説明した。これまでの高卒新人投手による初登板最多投球数は、1991年に135球投げたロッテの金泰亨(キム・テヒョン)だ。
洪源基監督は「(チョン・ヒョヌを)先発投手に育てることを計画している。管理はきちんとしてやるつもりだ」と述べた。チョン・ヒョヌの次の登板もひとまず予定通りになるという。ただし野球関係者の間では「高校野球は(1試合)105球という投球数制限がある。チョン・ヒョヌにとって実戦でこれほど多く投げたのは初めてだ。ベンチが止めるべきだったのではないか」という指摘もある。今年のキウムの戦力は比較的劣っているという見方が多いため、チョン・ヒョヌについては「今後、チーム事情によっては酷使される恐れがあるのでは」との懸念があるのも事実だ。
カン・ウソク記者