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崔相穆・大統領権限代行の弾劾を開始した共に民主党、何を狙っているのか【3月21日付社説】

 韓国野党・共に民主党は、馬恩赫(マ・ウンヒョク)憲法裁判官候補者を任命しない崔相穆(チェ・サンモク)大統領権限代行に対し、「黙認できない」との理由で弾劾手続きを開始するという。時期については明言していないが、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と韓悳洙(ハン・ドクス)権限代行に続き崔相穆代行まで弾劾する考えを明確にした形だ。代行の代行の代行体制になっても意に介さないようだ。

【写真】崔相穆・大統領権限代行に「お体にお気をつけいただきたい」とすごむ李在明代表

 共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は前日崔相穆代行に対し「国民の誰でも職務放棄の現行犯として逮捕できるので、お体にお気を付けいただきたい」と言葉をかけた。ヤクザ映画にも出てきそうな発言で波紋が広がったが、翌日には弾劾を宣言した。共に民主党による度重なる弾劾脅迫を受け、一時は崔相穆代行も辞任を検討中との見方も出ていた。崔相穆代行はこれを否定したが、共に民主党の攻勢がどれほど厳しいかをうかがい知ることができる。

 共に民主党は何かあれば崔相穆代行に対し「内乱の共犯」「国政混乱の主犯」などと批判しさまざまな手を尽くして圧力を加えてきた。共に民主党は重要法案を次々と一方的に採決したため、大統領や権限代行による拒否権行使は40回に及ぶ。首相、長官、検事などに対する弾劾案提出も29回だ。野党の政治攻勢に押され崔相穆代行が職務を正常に遂行できなければ、国政の混乱は今以上に拡大するだろう。崔相穆代行を弾劾し別の国務委員が次の代行に就任したとしても、共に民主党が望む馬恩赫候補が任命されるわけではない。

 今韓国の政治は大きな混乱に加え、トランプ政権の米国第一主義政策で経済と安全保障の危機に直面している。しかし国会を掌握した政党と大統領選挙候補支持率1位の候補者は国政から背を向けひたすら政略的弾劾暴走を続けている。実に無責任と言わざるを得ない。

 憲法裁判所は今月24日に韓悳洙(ハン・ドクス)権限代行に対する弾劾審判の宣告を行う。昨年12月27日に内乱を共謀・幇助(ほうじょ)したとの理由で弾劾訴追されてから87日だが、韓悳洙代行に対する弾劾も共に民主党の単なる政略に過ぎない。

 韓悳洙代行が復帰した場合、国政の混乱を収め米国と通商や安全保障の懸案を解決するきっかけになることも期待されている。韓悳洙代行は通商の専門家で駐米大使も経験した人物だ。馬恩赫候補の任命は大統領弾劾審判後に先送りするしかないだろう。

 共に民主党は今も弾劾審判の結果をじっと待てず焦っているが、その理由は国民も理解している。李在明代表の司法リスクが現実となる前に大統領選挙を行いたいからだ。しかしそうなれば国政はさらに混乱する。今の事態に大きな責任がある共に民主党には自粛と自重が必要だ。

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  • ▲ソウル汝矣島の国会で崔相穆(チェ・サンモク)大統領権限代行に言葉をかける韓国野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表。1月13日撮影。ニュース1

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