崔相穆(チェ・サンモク)大統領権限代行が放送通信委員会法の改正法に対して再議要求権(拒否権)を行使した。放通委の会議を常任委員3人以上でないと開催できないようにする内容の改正法で、進歩(革新)系最大野党「共に民主党」が先月末に強行処理した。放通委の会議を開けなくしようとする政略だ。崔代行は「違憲の余地が大きい」と述べた。
昨年末に崔代行体制になってからの3カ月で、9回目の再議要求だ。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権になってからだと40回目。1988年の民主化以降、拒否権の行使は計16回に過ぎなかった。少数与党で野党が国会の多数派だった盧泰愚(ノ・テウ)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代も、それぞれ7回と6回にとどまった。民主党の終わりなき立法暴走と協治の消失で、国政のシステムが壊れてしまったのだ。
民主党が強行処理した法律は、ほとんどがばらまきポピュリズム、反企業・親労組、放送掌握などのためのものだった。自分たちが政権与党だったころは反対していた法律を、野党になるや強行処理したものもある。ほとんどは、大統領の拒否権行使を誘導して政治的負担をかけようとする狙いに基づくものだった。
民主党は、特別検察官法も絶えず押し付けた。特別検察官を本気でやろうという目的であったなら、違憲の余地が無いように法案を作るべきだが、野党が特別検察官候補の推薦を独占するなどの違憲的な内容で、政治的圧迫にのみ利用した。
民主党が発議した弾劾案は、尹錫悦政権になってからの3年間で29回だ。こうした相次ぐ弾劾に劣らず深刻なのが、「相次ぐ一方的処理」だ。22代国会の常任委における一方的な票決は117回に達した。20代国会の7件、21代国会の64件とは比較にならない。
大統領と与野党指導部は政争と対立をけしかけ、中立を守るべき国会議長は民主党の味方をした。討論と合意は姿を消し、力の論理と政争だけが乱舞した。与野党は意気投合して合意するどころか、歓心を買うポピュリズム政策と自分たちの歳費・待遇を上げることばかりだ。こんな国会がどこにある、と思う。