ホーム > 社説・コラム > 社説 print list prev

大したことはないことを問題化する韓国政界【3月19日付社説】 米当局が韓国を「センシティブ国」指定

 ジョセフ・ユン駐韓米国大使代理は18日「米エネルギー省のセンシティブ(微妙な、慎重に扱うべき)国リストは複数の研究機関を持つエネルギー省に限定された問題だ」「さほど大した問題ではないが、大変なことのように一人歩きしているのは遺憾」と述べた。米エネルギー省のセンシティブ国リストに韓国が記載されたのは事実だが、傘下の研究機関がセキュリティー強化目的で行うに過ぎず、韓米関係に大きな影響を及ぼす問題ではないという趣旨だ。

【リスト】米エネルギー省「センシティブ国およびその他指定国」

 米エネルギー省には核兵器、新素材、スーパーコンピューターなどの研究機関が17カ所ある。昨年だけで2000人以上の韓国人研究者や学生が訪問するなど交流も活発なため、機密情報が流出する事例も実際にあったという。そのためこれら研究機関の訪問や協力の際には事前の審査期間を他国よりも長くするセンシティブ国リストに韓国が含まれたのだ。実際に1年以上前にある研究所の契約職員が輸出規制の対象である原子炉設計ソフトウエアを無断で持ち出し、韓国行きの航空機に搭乗する直前に摘発される事件が発生した。米国はこの問題を特に深刻に受け止めているという。水面下で米国と波風立てずに交渉し、問題を解決することが最善の対応策だ。

 これらの裏事情を確認もせず「一人歩き」させたのは韓国の政界だ。韓国与党・国民の力はセンシティブ国指定の原因について「(野党)共に民主党の親中反米政策」と主張したが、その根拠は提示していない。共に民主党はこの問題が韓国で報じられた直後から「待ってました」とばかりに「独自の核武装論が原因」と指摘した。文在寅(ムン・ジェイン)前政権で北朝鮮特使を務めた尹健永(ユン・ゴンヨン)議員は「国民の力と尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領、一部意識のない政治指導者たちがあおり立てた無責任な核武装論の影響」と発言し、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表も「『核武装すべきだ』などと主張する虚勢が原因」と批判した。どちらの主張にも根拠はなかったが、与野党双方共に謝罪も訂正もしていない。

 特に共に民主党の核武装アレルギーは最近は文字通り病的なレベルだ。かつて戦争まで行った敵対勢力が核で脅迫しているにもかかわらず、これに対抗する核武装にこれほど激しく反発する政治勢力が世界にあるとすれば、それは韓国の共に民主党以外にないだろう。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記を中心とする暴力集団の核兵器から韓国国民を守る方法について、共に民主党は融和政策という童話のような主張以外には何も語っていない。

 韓国独自の核武装の必要性は数年前から米国の識者の間でも語られ始めている。米国、英国、ロシアとの安全保障の約束を信じて核兵器を放棄したウクライナが今直面している状況を見れば、核武装の必要性はさらに高まる。ところが堂々と反米を主張する共に民主党はこの問題についてだけは「米国が嫌っているので口にするな」と言う。全くもって理解し難い。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲ジョセフ・ユン駐韓米国大使代理 /ニュース1

right

あわせて読みたい