中国が昨年、西海(黄海)の韓中暫定措置水域に無断で設置した構造物について、韓国政府で調査に乗り出したものの、中国の妨害により中国海警局と韓国海洋警察庁が対峙(たいじ)する事態が発生した。韓国の海洋調査船は先月26日、離於島に近い中国の構造物に対する調査を試みた。すると、中国海警局と民間のゴムボート3隻が韓国の調査船を威嚇・阻止した。このため、韓国海洋警察庁は艦艇を急きょ派遣し、双方の対峙は2時間以上続いた。中国側は「養殖場だから帰れ」と言い、韓国側は「正当な調査だ」とこれに対抗した。
韓中は西海の境界線を画定できないままの状態にある。このため中間地域に暫定措置水域を設定し、漁業以外の行為は一切しないことにした。ところが、中国は昨年4-5月に「漁業補助施設(養殖場)」だとして鉄骨の構造物2基を設置した。2022年にはコンクリート製構造物も設置し、大型のブイ(浮標)もある。境界線交渉をすることになった場合、こうした構造物を根拠に該当水域を「中国の領海だ」と主張する下心があるのは明らかだ。
中国は既に南シナ海で同じ手法を使っている。2013-16年に東南アジア諸国と領有権を巡って争っている南シナ海に7つの人工島を次々と作った上で、「中国の領海だ」と宣言した。 引き潮の時だけ現れる岩礁にセメントを注ぎ、軍事施設や飛行場などを作ったのだ。国際常設仲裁裁判所が2016年、南シナ海領有権裁判で中国敗訴の判決を下したが、これを無視して各種構造物を増やしている。南シナ海の85%以上が中国の領海だと主張しているのだ。構造物の設置から十数年で地中海より1.5倍も広い南シナ海を「内海」だと言っている。国際法を完全に無視するヤクザのような振る舞いだ。
中国は西海も内海にしようという「西海工程」を進めている。海の国境は両国の沿岸から中間線に画定するのが国際慣行であり常識だ。しかし、中国は「我が国は領土が広く、人口が多いから」と言って、西海をさらに占領しようと強引な主張をしている。中国の警備艦は韓国の白ニョン(ペンニョン)島がすぐ前の東経124度の海域に出没し、韓国海軍は「この線を越えてくるな」と脅かしている。
領有権を守るには、相手国が挑発してきたらその分だけ比例して返さなければならない。中国が作ったものと同じ規模の構造物を中国に近い暫定水域に設置すべきだ。中国が中間線を越えてきたら、その反対側で中間線を越えなければならない。たった一度の例外もあってはならない。