ジョー・バイデン前大統領が退任目前だった今年1月初め、米エネルギー省が韓国を、国家安全保障や核不拡散などの政策上、特に注意が必要な「センシティブ国およびその他指定国家リスト」に追加していたことが分かった。昨年12月3日の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による非常戒厳宣布や、同大統領弾劾訴追などで韓国の政局が深刻な混乱に陥り、国のリーダーシップが脆弱(ぜいじゃく)になっている時期のことだ。
【グラフィック】米エネルギー省の「センシティブ国およびその他指定国リスト」
これに関連して、米エネルギー省は韓国をセンシティブ国リストに入れた理由を明らかにしていない。ただし、センシティブ国指定の主体が米エネルギー省であることから、このところ米国との間で浮き彫りになっている原発関連の対立が影響している可能性に、韓国政府では注目している。韓国政府高官は「韓国は最近、原発輸出市場で米国と競合している」とした上で、「韓国を原発競争国とみなし、エネルギー安保の観点からセンシティブ国に指定した可能性がある」と語った。
米国の原子力関連企業ウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニーはこのほど、韓国によるチェコへの原発輸出に関して、「韓国が源泉技術を盗用した」という内容の陳情書をチェコ反独占当局に提出した。これに関する韓国電力・韓国水力原子力とウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニーの知識財産権紛争が終結した時点が1月中旬だったことを考えると、1月初めの米エネルギー省のセンシティブ国指定は同問題と無関係ではない可能性があるということだ。つまり、韓国企業を通じて米国の原発技術が流出する可能性に注視するためのものかもしれないという意味だ。
韓国の政治情勢が戒厳・弾劾で不安定になっている状況で、韓国国内で独自の核武装論が取り沙汰されていることを、米国がセンシティブに受け止めている可能性もある。韓国国内で独自の核武装に賛成する世論の高まりに政情不安が重なり、韓国の原子力技術管理などについて懸念が広がっているかもしれないということだ。米エネルギー省は、米国の国家安保や核不拡散、地域不安定、経済安保の脅威、テロ支援の可能性などを理由に、特定の国家をセンシティブ国リストに入れることがある。
韓国軍関係者は「尹大統領は『独自核保有』発言で『韓米ワシントン宣言』を得たが、核協議グループ(NCG)新設後も韓国国内で独自の核武装世論が熱いため、米国はセンシティブ国リストに韓国を入れたのかもしれない」と述べた。センシティブ国指定が核不拡散問題と関連している可能性があるということだ。米国はイスラエルや台湾もセンシティブ国に指定している。趙炳ジェ(チョ・ビョンジェ)元国立外交院院長は「今回のセンシティブ国指定は、米国における韓国の核管理能力に対する不信が最近の情勢と重なって広がっているものとみるべきだ」と指摘した。
ヤン・ジホ記者