韓国憲法裁判所は13日、崔載海(チェ・ジェヘ)監査院長と李昌洙(イ・チャンス)ソウル中央地検長ら3人の検事に対する弾劾案を裁判官全員一致で棄却した。野党・共に民主党がこの4人に対する弾劾訴追案を国会に提出したのは昨年12月2日で、これがその翌日の非常戒厳令事態のきっかけになった。崔載海院長らは98日ぶりに職務に復帰した。
在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備、西海公務員銃殺事件、国民権益委員長の不正行為など、監査院はこれらに対する監査を行っていたが、これを共に民主党は違法と主張した。共に民主党が政権を握っていた時代の不正に対する監査を理由に監査院長を憲政史上初めて弾劾訴追し、職務を停止させた。これに対して憲法裁判所は「違法とする根拠はない」と判断した。共に民主党は選挙管理委員会による職員不正採用に対する監査も問題としたが、監査院が実際に摘発した選管による不正は878件に上る。選管幹部の息子や親戚が特別に採用された事例も明らかになった。問題を摘発した監査院は称賛を受けるべきだが、共に民主党は弾劾により監査院に報復した。
ソウル中央地検の検事らに対する弾劾訴追は「金建希(キム・ゴンヒ)夫人に対するずさんな捜査」が理由だった。捜査に対する批判は誰もができるが、弾劾訴追は重大な違法行為があったときにのみ行うべきだ。共に民主党は法律を確認もせず政略目的だけのために弾劾訴追を行ったのだ。ソウル中央地検は26日に控訴審宣告が予定されている李在明(イ・ジェミョン)代表の選挙法違反事件をはじめ、大庄洞事件なども捜査を行っている。つまり検事弾劾の真の目的は李在明代表を守るためだ。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後、共に民主党が提出した弾劾訴追案は29件に達する。これは韓国の歴史上、全く前例がないのはもちろん、世界的に見てもあり得ない事態だ。それでも共に民主党は今度は沈雨廷(シム・ウジョン)検察総長(検事総長に相当)の弾劾までちらつかせている。共に民主党は29件のうち13件を国会で一方的に可決させたが、これまで宣告が下された公職者8人は全員が棄却だった。国会で弾劾訴追案が成立した公職者は直ちに職務が停止となる。2日だけ勤務し弾劾訴追された李真淑(イ・ジンスク)放送通信委員長は174日にわたり職務から排除された。これは野党が政府をけん制するというレベルではない。国会を掌握したことで政府を無視し、踏みにじり、国政を妨害したことは国憲紊乱(びんらん)に相当する。
李在明(イ・ジェミョン)代表は前日記者団の取材を受けた際「連続弾劾は内乱ではないのか」との指摘を受けた。これに対して李在明代表は「われわれも誤りがなかったとは考えていない」としながらも「憲法秩序の枠から外れてはいない」と反論した。「法律が認めた権力の行使に過ぎない」という意味だろう。しかしたとえ法律で認められた場合でも、度が過ぎればそれは憲法による基本秩序を混乱させる行為だ。
他人に害を及ぼす目的でうそを並べ立て、告訴・告発した場合は虚偽告訴罪になる。虚偽や力で誰かの業務を妨害すれば業務妨害罪、税金を浪費すれば国庫損失罪が適用される。どれも重大な犯罪だ。共に民主党による政略的連続弾劾は実質的に全てこれらの犯罪に相当する。公職者らは長期にわたり業務ができず、弾劾訴追に伴う弁護士費用だけで数億ウォン(数千万円)の国庫が浪費された。共に民主党はそれ相応の代償を支払うべきであり、李在明代表もまずは国民に謝罪すべきだ。