保守系与党「国民の力」の議員が、事前投票制度(期日前投票)を廃止して本投票日を増やす内容を盛り込んだ公職選挙法改正案を発議した。選挙日の5日前から2日間行っていた期日前投票の代わりに、本投票を週末含めて3日間やろう、という案だ。選挙当日の投票が難しい有権者のためには不在者投票を復活させよう、という案も提示した。
事前投票制度は2014年の地方選挙で初めて導入され、投票率アップに寄与した。選挙日を休日として活用できることに加え、期日前投票は全国どこでも可能だったからだ。総選挙基準で、08年の時点で46.1%まで下落していた投票率は、16年には58%に上がり、昨年は67%を記録した。最近の大統領選挙・総選挙における期日前投票の比率は50%に迫る。
ところが、導入から10年が経過し、幾つか問題も現れている。韓国の選挙では、本投票間近になって候補の一本化など大きな出来事が頻繁に発生する。本投票直前になって候補の深刻な問題が露見することもあり得る。期日前投票した人は、こうした事情の変化を全く反映できない。
韓国の現行の選挙法では、選挙日の6日前から世論調査の公表を禁止しているが、期日前投票は選挙日の4-5日前に実施される。先の韓国大統領選当時、尹錫悦(ユン・ソンニョル)候補と安哲秀(アン・チョルス)候補の一本化は、世論調査結果の公表禁止期間中に行われた。本投票の有権者と期日前投票の有権者の間に、情報格差が発生することは避けられない。全ての有権者は同等の環境で投票すべきだが、期日前投票では、実質的な選挙運動の期間が4-5日短くなる。
投開票の管理も難しい。期日前投票は、住所地の外で投票したら、投票用紙を郵便で住所地の開票所に送ることになる。郵便局がその管理を担当するのだが、この過程は選管も、投票立会人も監視できない時間と空間だ。国民の不信と不安が生じている部分だ。投票用紙は一瞬たりとも管理の死角に置かれてはならない。
期日前投票をすれば選挙日を完全に休日として使うことができるので、韓国国民の選好度は高い。投票率の底上げは、事前投票制度のほぼ唯一の長所だ。だが期日前投票でなくても、本投票日を2-3日に増やせば、最終投票日の1日を休日として使える。投票率も上げつつ、不必要な疑惑を遮断する役にも立つかもしれない。政党間に有利不利があるはずもない。この方向で投票制度の改善を検討してみてはどうかと思う。