公務員試験で韓国史の「カリスマ講師」として有名なチョン・ハンギル氏(55)が今年1月25日、ソウル・汝矣島で行われた尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領弾劾反対デモに参加し、演説をした。韓国最大野党・共に民主党はこのほど「チョン・ハンギル氏は不正選挙に関する(フェイクニュース)動画を(動画共有サイト)ユーチューブに掲載した」として、同氏をユーチューブの親会社グーグルに通報した。しかし、チョン・ハンギル氏は同月25日の弾劾反対デモで「中央選管を批判したのに、なぜ共に民主党が私を告発するのか」と、同党を強く批判した。チョン・ハンギル氏は翌1月26日、本紙とのインタビューで「私が黙っていたら、学生たちまでやられると思ったから街頭に立った」と語った。
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チョン・ハンギル氏はソウル・鷺梁津の予備校「メガスタディ」で公務員試験の受験生たちに韓国史の講義をしており、受験生たちの間で「カリスマ講師」と呼ばれている。同氏は昨年12月3日の非常戒厳宣布以降、ユーチューブの自身のチャンネルに政局に関する動画をたびたびアップロードしている。そうした中、今年1月19日に掲載した『大韓民国の混乱 選管が招いた』というタイトルの動画が話題になった。不正選挙疑惑に関する騒動が広がっている中、選管の積極的な措置を要求する内容だった。この動画の再生回数は 340 万回に達した。すると、三日後の同月22日、共に民主党がこの動画をグーグルに通報したのだ。同党は「必ずや一罰百戒で根絶する」とも言った。
これに対してチョン・ハンギル氏は「共に民主党は王様なのか。なぜ私のような人間が一罰百戒を受けなければならないのか」と言った。そして「非常戒厳宣布後、共に民主党は『(メッセージ・アプリ)カカオトークを検閲する』と言い、自分たちの支持率が下ったら『世論調査管理法も作る』と言っている」「私まで我慢していたら、他の人々もやられてしまうと思ってデモに参加した」と説明した。さらに「不正選挙で何がどうなったという話をしているのではない」「投票の透明性・公正性を高めようという話なのに、なぜみんな死ねとばかりに飛びかかってくるのか理解できない」とも言った。その上で「共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表や(左派系ジャーナリストでユーチューバー)金於俊(キム・オジュン)氏も以前、不正選挙疑惑を唱えていたではないか。このような状況だから、疑惑をスッキリ晴らせば、選管もむしろ名誉を回復することができるだろう」と述べた。
チョン・ハンギル氏は以前、尹大統領が非常戒厳を宣布したことについて「正気ではない」と言っていた。同氏はこの日も「今もあのような方法(非常戒厳宣布)を使ったことに対しては反対だ」と言った。だが、その一方で「共に民主党は大統領に続き、韓悳洙(ハン・ドクス)首相も弾劾(訴追)し、崔相穆(チェ・サンモク)大統領権限代行にまで『我々の言うことを聞かなければ弾劾する』と言っている。それを見て『国を滅ぼそうしているのか』と思った」と述べた。前日の弾劾反対デモで同氏は「私は元ノサモ(盧武鉉〈ノ・ムヒョン〉大統領の熱狂的支持者)だ」「私たちは『行動しない良心は悪の味方だ』という金大中(キム・デジュン)元大統領の言葉を忘れてはならない」と語った。同氏は本紙とのインタビューで「私のことを左派だとか右派だとかと言っている人々がいるが、私は常識派だ」と主張した。
キム・ヒョンウォン記者