真実か、罪をかぶるためのうそなのか…証言を変えた金竜顕前国防相【1月24日付社説】

 金竜顕(キム・ヨンヒョン)元韓国国防部(省に相当)長官は23日、憲法裁判所で開かれた尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領弾劾審判に証人として出頭した。尹大統領と金竜顕元長官が対面したのは非常戒厳令以来だ。国会を含む一切の政治活動を禁じた「布告令1号」と戒厳令当日の国会への兵力投入、国会議員逮捕指示などは弾劾審判の重要な争点だ。金竜顕元長官はこれらの争点について、検察や公捜処の発表内容とは異なる証言を行った。

 捜査当局は金竜顕元長官と韓国軍指揮官らの聴取に基づく訴状で「尹大統領は銃を撃ってでもドアをこじ開けて中に入り、(議員らを)引きずり出せと指示した」「国会に入ろうとする国会議員を全員逮捕せよと警察にも直接指示した」と発表した。ところがこの日憲法裁判所で金竜顕元長官は「尹大統領は国会に最低限の兵力だけを投入するよう指示した」と証言した。「大統領が国会から『引きずり出せ』と指示したのも、議員ではなく軍要員だった」と述べた。政治家の逮捕指示について金竜顕元長官は「そんな指示を受けたことは全くない」と明言した。

 その一方で拘束された元特殊戦司令官は国会で尹大統領が極秘の携帯電話で直接電話し「早くドアを破り中にいる者たちを引きずり出せと指示した」と完全に食い違った証言を行っている。これは大統領弾劾の重要な争点だ。誰がうそを言っているのか解明しなければならない。

 「布告令1号」について尹大統領側はこれまで「金竜顕元長官が作成し、大統領は厳密に確認しなかった」と主張してきた。これに対して金竜顕元長官は「全体的な検討は尹大統領が行った」と主張してきた。双方が「責任はない」と主張するかのようだった。しかし今回金竜顕元長官は尹大統領の主張にほぼ同意するかのような証言を行った。崔相穆(チェ・サンモク)権限代行に「非常立法機関メモ」を手渡した人物について金竜顕元長官は「尹大統領ではなく私自身」と述べた。これも検察の発表とは食い違っている。

 金竜顕元長官は事実を語ったのかもしれないが、一方で尹大統領を守るため自らの主張を変えて証言した可能性も考えられる。今後も幅広い証言と証拠を積み上げ、誰もが納得できるように真実を解明する以外にない。

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  • ▲尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は23日、ソウル市鍾路区の憲法裁判所で開かれた弾劾審判弁論に出席し、金竜顕(キム・ヨンヒョン)元韓国国防部(省に相当)長官に直接質問した。/憲法裁判所

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