アピールばかりで成果ないまま捜査終了 高位公職者犯罪捜査処が尹大統領を送検

起訴を要求し尹大統領事件を再び検察に送付

 「12・3非常戒厳令事態」を捜査している高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が内乱首謀と職権乱用の疑いのある尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領事件を23日、ソウル中央地検に起訴要求で送検した。検察から事件を引き受けてから36日が過ぎた。公捜処は尹大統領を逮捕し身柄を拘束したが、取り調べは1回のみでしかも尹大統領は陳述拒否権を行使した。公捜処の対応について法律に詳しい専門家の間からは「見せるための捜査にばかりこだわり、成果を出せなかった」など批判の声が相次いでいる。

【グラフィック】成果なし…高位公職者犯罪捜査処の尹大統領捜査日誌

 非常戒厳令事態直後、公捜処、検察、警察は先を争って尹大統領らに対する捜査に乗り出した。内乱罪を直接捜査できるのは警察だけだが、公捜処は直接の捜査対象である「職権乱用」との関連から内乱罪も捜査できると主張した。検察も内乱罪の捜査権はないが、今回の事態の共犯に趙志浩(チョ・ジホ)警察庁長ら警察官が含まれていたため捜査権があるというのが裁判所の判断だった。公捜処が起訴する権限があるのは判事、検事と警務官以上の警察官のみで、尹大統領を裁判にかけることもできない。

 それでも公捜処は公捜処法上の移牒(いちょう、管轄の異なる他の役所に文書で通知すること)要求権を口実に警察と検察から事件を引き受け、尹大統領の捜査を事実上独占した。その後、尹大統領に対して3回出頭を要求したが、尹大統領は「公捜処に捜査権はない」としてこれに応じなかった。すると公捜処は裁判所から逮捕令状の発布を受け、2回にわたり強制捜査に乗り出した。今月15日には1100人以上の警察官の支援を受け尹大統領を逮捕し、18日の拘束令状実質審査を経て19日に尹大統領を拘束した。

 ところが公捜処は尹大統領の取り調べを今月15日に10時間40分にわたり1回行っただけだった。事前に準備された質問の量は230ページの分量があったが、それを全て終えることはできず、尹大統領も陳述を拒否したという。その後ソウル拘置所に収監された尹大統領は公捜処の出頭要求に応じず、公捜処は尹大統領拘束後、前日まで3回にわたり強制拘引を試みたが失敗した。訪問聴取もできなかった。

 公捜処は当初、1回の延長で最長20日となる被疑者拘束期間を半分に分けて聴取を行うことで検察と合意した。公捜処が計算した尹大統領の1回目の拘束期間(10日)は今月28日までだが、その5日前に事件を検察に引き渡したのだ。検察の特別捜査本部は24日、裁判所に尹大統領の拘束期間延長を申請する予定だ。

 ある法律専門家は「公捜処は捜査権問題が整理される前から検察と警察に事件の移牒を求めたが、尹大統領を拘束しても事前に準備した質問さえ全て終えられなかった」「検察に意味のある捜査結果を伝えられたか疑問だ」と懐疑的な見方を示した。次長検事を務めたある弁護士は「見せるための強制拘引に失敗した公捜処には尹大統領を取り調べる方法がない。だから早めに検察に事件を引き渡したのだろう」との見方を示した。

イ・ミンジュン記者

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