米国の戦略家たちは第1次世界大戦と第2次世界大戦、さらに冷戦当時と同じように動いた。米国務省は2020年に中国封鎖を目指す「ロング・テレグラム」を準備した。今米国の戦略目標は中国のみと言っても過言ではなく、その点で米共和党と民主党に考えの違いはない。違いがあるとすればバイデン大統領は反中に向け同盟国を説得し、トランプ次期大統領は同盟国にも圧力をかける程度の違いだ。トランプ次期政権で国家安全保障担当の大統領補佐官に就任予定のマイク・ウォルツ氏は12日、トランプ次期大統領とロシアのプーチン大統領との会談について「準備中」と明言した。トランプ氏がプーチン大統領を引き込めば最終的に中国けん制につながるだろう。
韓国の野党は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領弾劾訴追案に「大統領は北朝鮮、中国、ロシアを敵対視し、日本中心の奇異な外交政策を行った」と主張したが、この点に米国は注目している。トランプ氏に近いある人物はここに中国の「悪意ある影響力」を指摘した。大統領選挙が前倒しされた場合、韓国が中国寄りになることをすでに懸念しているのだ。韓国野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は昨年の国会議員選挙の際「なぜ中国にあれこれ言うのか」と述べ、両手を合わせて「(中国には)ただシエシエ(ありがとう)、台湾にもシエシエと言えばよい」と発言した。本国では局長級に過ぎないケイ海明・駐韓中国大使(当時)の隣に座ると、大使から「米国勝利、中国敗北への賭けは間違い」と面と向かって言われた。これも米国が知らないはずがない。
米中が共存を模索すれば韓国にも戦略的な立ち位置が生じ、米中間で国益を追求するバランス外交も可能だ。ところが今米国は中国と戦争も辞さない雰囲気だ。トランプ氏が韓国の造船企業を名指しして協力を強調したのはなぜか。軍事面で米国にとって唯一の劣勢が軍艦の数だからだ。トランプ氏の外交・安全保障・経済政策担当者は全て対中強硬派だ。北朝鮮の核問題も中国けん制のカードになるかもしれない。ただし覇権国はどっちつかずの同盟国と手を握っては戦争しない。「米国にもシエシエ、中国にもシエシエ」などと言う国はどちらからも信頼されない。トランプ氏の大統領就任まで1週間しか残っていない。
安勇炫(アン・ヨンヒョン)記者