脱北した漁民を強制的に北朝鮮に送還したとされる「脱北漁民強制送還事件」で起訴された元国家安保室長の鄭義溶(チョン・ウィヨン)被告と元国家情報院長の徐薫(ソ・フン)被告に対し、検察がそれぞれ懲役5年を求刑したことが14日、確認された。徐薫被告には資格停止5年も合わせて求刑した。また、検察は元大統領秘書室長の盧英敏(ノ・ヨンミン)被告には懲役4年を、元統一部長官の金錬鉄(キム・ヨンチョル)被告には懲役3年を求刑した。
【写真】強制送還に抵抗する北朝鮮漁民(2019年11月7日)
検察は13日、ソウル中央地裁刑事第21部(許京茂〈ホ・ギョンム〉裁判長)の審理で行われた結審公判で「被告人たちは脱北した漁民2人が数回にわたって亡命の意思を表明したにもかかわらず、外国人や難民よりも劣る存在として扱い、違憲・違法な強制送還決定を指示した」と求刑の理由を述べた。その上で「高級官僚である被告人たちは、ひたすら対北朝鮮関係改善のためだけに脱北者に対する保護義務を放棄した」「漁民たちが脱北の過程で罪を犯したとしても、韓国の国民として韓国の憲法・法律に基づいて公正な裁判を受けられるようにすべきだった」と言った。
鄭義溶被告らは、2019年11月に北朝鮮の漁民2人が脱北者合同調査で少なくとも4回は亡命の意思を表明したのにもかかわらず、韓国国家情報院や統一部(省に相当)など関係機関の公務員に対し、2人を強制的に北朝鮮に送還するよう指示した疑い(国家情報院法上の職権乱用)などで23年2月に起訴された。脱北の過程で船員仲間16人を殺害した容疑が持たれている2人が、韓国の法に基づいて裁判を受ける権利を行使できなくした疑いも持たれている。同年4月に初公判が行われたが、公判のほとんどは国家安保を理由に非公開で行われた。
被告人4人に対する判決公判は来月19日午後2時に開かれる予定だ。