韓国野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は8日、党の会議で「法の秩序が守られなければ、経済と庶民生活は砂上の楼閣にならざるを得ない」と述べ、逮捕状の執行に応じない尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を批判した。このように李在明代表は尹大統領を批判する際に「法の秩序」に言及したが、これに対して「李在明代表に『法の秩序』を語る資格があるのか」との批判も根強い。李在明代表はこれまで共に民主党が掌握している国会を利用し、自らの「司法リスク」を回避するため「防弾」の速度を上げるよう強く求め、同時に自分の裁判を徹底して遅らせる戦略を行使してきた。これこそまさにネロナムブル(私がすればロマンス、他人がすれば不倫=身内に甘く、身内以外に厳しいこと)であり、二律背反だ。
共に民主党の関心はただひたすら大統領選挙前倒しに集中している。内乱罪の判断を弾劾審判から撤回したことも、審判を早期に終わらせたい意図があるからだ。弾劾訴追の核心を共に民主党が突然撤回したことに戸惑う国民も多い。それでも国会弾劾訴追団の共に民主党所属法制司法委員長は「内乱罪を担当する裁判所で、尹錫悦は死刑宣告を受けるだろう」と過激な発言を行った。元検察官のある議員も国会で高位公職者犯罪捜査処長に対し「大統領警護処職員が銃を持って抵抗すれば、胸を出して撃てと言え」「棺を持っていく血気を示せ」とやはり過激な発言を行った。また別の元検察官の議員は金於俊(キム・オジュン)氏のユーチューブ番組に出演し「放水、装甲車、ヘリなど全て動員すべきだ」と述べ、金於俊氏は「狙撃手たちにはレーザーポインターを胸に当てさせ、カプサイシンも撃って引っ張り出し、必ず突破しなければならない」と主張した。国家機関である公捜処と警護処の流血衝突をあおる発言だ。これらの発言はどれも李在明代表のため大統領選挙前倒しを目指すものだ。
共に民主党の「大統領選挙早急症」は世論に変化をもたらした。戒厳令後に急落した与党・国民の力の支持率が3週連続で上昇し、戒厳令前のレベルに回復したが、これに対して共に民主党支持率は3週連続で下落した。これらの結果を示す世論調査結果も相次いで公表されている。共に民主党と国民の力の支持率が誤差の範囲内になったとの調査結果も出ている。ただし国民の力はこれら一連の世論の変化を「大統領による非常戒厳令や逮捕状に応じないことへの支持」と受け取ってはならない。大統領選挙前倒しだけを目的に捜査機関や政府に圧力をかけ、脅迫しながら君臨する共に民主党。またすでに政権を握ったかのように行動する李在明代表と共に民主党への逆風と考えるべきだ。
与野党がどちらも法律を無視する状況が今後も続けば、弾劾審判結果を双方が受け入れず国が完全に分裂する恐れがある。そうなった場合、事態を収拾する責任は与野党双方にあるか、あるいは立法府を掌握している共に民主党の責任の方がより大きいかもしれない。今は憲政秩序の回復に集中し、大統領選挙はその次に考えても決して遅くはない。