高位公職者犯罪捜査処は尹大統領の逮捕状執行を警察に一任、野党は訴追事由から内乱罪を削除…弾劾政局揺るがす悪手

弾劾審判と内乱罪捜査、法律的論争で混乱が深刻に

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の内乱罪捜査と憲法裁判所の弾劾審判の過程で法的・政治的論争が起きたことにより、弾劾政局が揺さぶられている。公捜処は警察に「尹大統領の逮捕状執行を一任する」と通知した。だが警察はすぐさま「法的な論争がある」として拒否した。国会弾劾訴追委員団が今月3日に「尹大統領の訴追事由から内乱罪を撤回したい」と表明したことを巡っても、尹大統領側と保守系与党「国民の力」の反発が続いている。公捜処と野党が立て続けに法的論争を招き、反発の原因をもたらしている、というわけ。韓国政界からは「こういう形で進めていったら、どんな結果が出ても当事者の一方が受け入れられない状況を招きかねない」という声が上がっている。

【写真】尹大統領の逮捕に失敗した呉東運・公捜処長

 公捜処は尹大統領の逮捕状の執行時限前日となる今月5日の夜、警察の国家捜査本部特別捜査団に、令状執行を一任したいと通知した。3日に逮捕状の執行に乗り出したものの、大統領警護処に阻止されて失敗したことから、警察に令状執行を任せようとしたのだ。しかし警察の特別捜査団は「逮捕状の執行主体は公捜処なのに現場の執行指揮を警察に一任するのは、法律的に問題がある」として拒否した。論争が大きくなると、公捜処は「自分たちが令状を執行する」という意向を再度表明した。公捜処という捜査主体の適法性論争に加えて令状執行を巡る法的論争まで呼び込んだのだ。

 進歩(革新)系最大野党「共に民主党」主体で結成された国会弾劾訴追委員団が今月3日、尹大統領の弾劾訴追事由から内乱罪を撤回するとしたことも、国民の力の激烈な反発を呼んだ。12月14日に国会の評決に付された尹大統領弾劾訴追案は、国民の力の議員12人が賛成に回ったことで可決された。そうした中で弾劾訴追委員団の内乱罪撤回方針が判明すると、国民の力では「内乱罪が抜けていたら評決の結果が変わっていただろう」と、再議決要求に乗り出した。安哲秀(アン・チョルス)、金宰燮(キム・ジェソプ)議員など国民の力の弾劾訴追賛成派も「内乱罪削除は誤り」と主張した。

朴秀纘(パク・スチャン)記者、キム・アジン記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲2024年12月25日午前、京畿道果川の高位公職者犯罪捜査処の様子。/チャン・リョンソン記者
  • 高位公職者犯罪捜査処は尹大統領の逮捕状執行を警察に一任、野党は訴追事由から内乱罪を削除…弾劾政局揺るがす悪手

right

あわせて読みたい