■若い米国経済の道を歩むべき
韓国の選択肢は日本だけではない。米国は世界最大の経済大国だが、一人当たりGDPで日本を抜いたのは1998年(米国3万2853ドル、日本3万2423ドル)以降だ。その後の軌跡には差がある。米国は加速度的に8万ドルにまで達したが、日本は依然として3万ドル台だ。何がこんな違いを生み出したのか。
米国アリゾナ州フェニックスの都心から高速道路で北に約30分ほど行くと、約400万平方メートルの工場建設現場が広がる。クレーンが休む間もなく動く工場の側面に鮮やかな赤で「TSMC」という文字の看板がついていた。世界1位の半導体ファウンドリー(受託生産)メーカーである台湾の台湾積体電路製造(TSMC)が650億ドル(約9兆7600億円)をかけて工場を建設しているのだ。米国は2022年、半導体メーカーの米国内での投資を増やすため、半導体生産補助金など5年間で計527億ドルを支援する内容の半導体法(CHIPSプラス法)を制定した。これに伴い、サムスンなど世界屈指の半導体メーカーが補助金の適用を受けるために参入し、TSMCも先手の投資に乗り出した。巨大な規模の米国経済が着実な成長を遂げる背景には、新技術を通じて世界の革新的成長をリードする企業、外国企業の積極的な投資を誘致する米国政府の努力が挙げられる。「革新主導」と「投資誘致」という両輪で米国に新しい産業が花開く状況をつくっているのだ。フェニックス市はTSMC工場の建設のより、地元で最大8万人分の雇用創出効果を期待している。
専門家は米国と日本の道が異なる道を歩んだ理由について、米国が持続的成長の障害になる構造的要因を取り除くことに成功したからだと指摘する。ソウル大学行政大学院の朴相仁(パク・サンイン)教授は「イノベーション企業の進入障壁が高くない米国ではIT、バイオ、インターネットコンテンツ分野の新興企業が絶えず新たなチャレンジをしてきた。主に既得権益を握った大企業が新事業を試みる日本とは違った」と指摘した。ソウル大の金泰由(キム・テユ)名誉教授は「韓国も先端産業に対する圧倒的な支援と投資で米国のような道を歩まなければならない」と提言した。
会津若松(福島県)=成好哲(ソン・ホチョル)特派員、フェニックス=ユン・ジュホン特派員、金正薫(キム・ジョンフン)記者