■暗殺の脅威に打ち勝ったトランプ…司法リスクも脱出
10月に米大統領選で共和党から出馬したトランプ氏が勝利し、4年ぶりにホワイトハウスに返り咲くことが決まった。トランプ氏は7月の遊説中に銃撃を受けても命拾いし、9月の2回目の暗殺の企ても免れた。「司法リスク」は事実上解消されたと言える。トランプ氏が起訴された刑事裁判4件の中で「性的スキャンダルの口止め」を巡っては、陪審員団が有罪の評決まで下したが、大統領選勝利以降、検察が裁判中断を要請した。残りの事件もうやむやになる可能性が高くなった。
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■北朝鮮、ロシアに派兵…国際安全保障に脅威
10月には北朝鮮がウクライナに侵攻したロシアを支援して派兵した。6月に北朝鮮とロシアが相互軍事援助条項を復活させた「包括的戦略パートナー条約」を結んでから4カ月後のことだ。ウクライナによるドローン(無人機)などの先端兵器に慣れていない北朝鮮兵が銃弾を受けて牲になっていると伝えられるが、北朝鮮が派兵を通じて実戦の経験を積むことになれば、国際安全保障の脅威になり得るとの懸念が高まっている。
■英仏日で与党が相次ぎ敗北
各国の選挙で政権与党の敗北が続いた。スナク英前首相は7月、早期総選挙のカードを切ったが、スターマー首相率いる労働党に惨敗し、政権を明け渡した。フランスでは6月、マクロン大統領が率いる中道会派「共和国のための団結(アンサンブル)」をはじめとする与党が国民議会選挙で敗北し政局主導権を失った。10月には日本の衆院選で自公連合が15年ぶりに過半数議席の確保に失敗した。
■53年続いたシリア独裁政権の崩壊
中東シリアで53年続いたアサド父子による独裁政権が12月に崩壊した。武装勢力「タハリール・アル・シャーム機構」(HTS)を主軸とするシリア反政府勢力が大攻勢に出て、政府軍を追放した。アサド氏一族はロシアに亡命した。シリア政府軍を支援してきたロシアとイランがそれぞれ自国の戦争に没頭し、シリアへの支援を弱めたことで、政府軍はあっけなく敗北した。
■4年半ぶりに利下げ時代
米連邦準備理事会(FRB)は9月に政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%引き下げる「ビッグカット」に踏み切り、政策転換に着手した。コロナ禍に対応するために利下げを実施した2020年3月以降、4年半ぶりの金利引き下げを行った。米国のインフレが安定し、景気低迷への懸念に積極的に対処する狙いがあると分析される。その後、韓国、英国、カナダなども相次いで政策金利を引き下げた。
■「仮想ゴールド」ビットコインが10万ドル突破
世界最大の仮想通貨ビットコインの価格が12月に初めて10万ドルの大台を突破した。ビットコイン価格は「仮想通貨の大統領」を自称してきたトランプ氏が大統領選で勝利すると、上昇を続けた。仮想通貨の普及を支持するイーロン・マスク氏が次期政権の実力者になった点、ビットコインを規制する米証券取引委員会(SEC)委員長に親仮想通貨の人物が指名されたことも好材料として作用した。
■物理学賞・化学賞…ノーベル賞を総なめしたAI
人工知能(AI)がノーベル賞を総なめした。「AIのゴッドファーザー」として理論的基礎を固めたカナダ・トロント大のジェフリー・ヒントン教授らがノーベル物理学賞を受賞した。たんぱく質構造を予測するAIを開発したグーグル・ディープマインドのデミス・ハサビス最高経営経営者(CEO)らはノーベル化学賞を受賞した。AIが我々の日常生活に影響を及ぼすレベルを超え、科学革命を主導する時代が到来したと評されている。
■イスラエルの攻撃で崩壊する「抵抗の軸」
イスラエルはイランが支援するイスラム武装勢力ネットワーク「抵抗の枢軸」に壊滅的打撃を与えた。レバノンのヒズボラを徹底的に空爆し、その指導者ナスララ師(9月)と後継者とみられていたサフィエディン師(10月)を相次いで殺害した。ハマスの最高幹部ハニヤ氏(7月)、その後継者シンワル氏(10月)も射殺したイスラエルはヒズボラやハマスを支援してきたイランにも大規模な空襲を加え、戦雲がエスカレートした。
■月の裏側まで…宇宙が一歩ずつ身近に
2024年に人類は宇宙探査でさまざまな進展を達成した。全長120メートルに達する米スペースXの超大型ロケット「スターシップ」は10月、宇宙船から分離したロケットのブースター(推進装置)を発射台に降下させ、棒状の設備「チョップスティック(箸)」で回収することに成功した。中国は6月、探査船「嫦娥6号」で人類で初めて月の裏側の土壌を採取した。韓国は今年5月、宇宙航空庁を開庁し、世界5大宇宙強国への挑戦をスタートした。
■「50-50」大谷翔平、メジャーリーグの頂点に
9月、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平が1シーズンにそ50本塁打、50盗塁を記録する「50-50」を米大リーグ史上初めて達成した。投打の「二刀流」で知られた大谷は走塁でも抜群の能力を見せ「三刀流」というニックネームも得た。54本塁打59盗塁でシーズンを終えた大谷は、ワールドシリーズ優勝まで成し遂げ、大リーグの頂点に立った。