実際に韓国の中小企業でウォン安に為替差益を得ているケースは全体の10%程度にすぎない。残りの90%は原材料を輸入し、加工した製品を韓国国内の大企業に納入したり、国内に出荷したりしているが、そうした企業ほどウォン安が進めば原材料コストが増大し、大幅な減益で揺らぐことになる。
中小企業中央会が12月18日、韓国の輸出中小企業513社を対象に実施した緊急アンケートでも、3割が「最近国内外の情勢で売り上げが被害を受けている」と答えた。「ウォン高による困難に直面している」との回答は22%だった。
中小ベンチャー企業研究院が9月に発表した「中小企業為替リスク分析研究」によると、韓国の中小企業の相当数はウォン相場が1%下落するごとに約0.36%の損失となることが分かった。
中小企業の相当数は原材料を購入する際、半年または3カ月後に決済代金を銀行にウォンで返済するユーザンス取引を活用しており、被害はさらに拡大しかねない。中小企業中央会のチュ・ムンガプ経済政策本部長は「中小企業にとってはウォン安で原材料を購入した時点よりも負担がさらに増えることになる」と説明した。
中小企業の多くが為替ヘッジすら考えられずにいるという現実も、為替被害を広げている。為替ヘッジを行う自主管理する能力もなく、そのための専門人材を確保できずにいるためだ。最近中小企業中央会が会員企業304社を対象に実施した調査によれば、半数近い49.3%が為替リスクを全く管理できておらず、最大の理由は「管理人材不足」という結果が出た。
■大企業も緊張
短期間で急激にウォン安が進み、緊張しているのは大企業も同様だ。かなりの大企業は為替変動保険に入るなど為替ヘッジで積極的に損失を補てんしようとしているが、為替変動が予想外に拡大すれば、それでも安全圏を外れてしまうため、敏感に状況を注視している。
韓国経済人協会が12月22日、売上高上位1000社を対象に実施した「2025年輸出見通し調査」でも、回答企業は来年の輸出伸び率が前年比で1.4%にとどまると予想していることが分かった。輸出減少の主因としては、「ウォン安による原材料・原油価格の上昇で価格競争力が低下する」(11.1%)が挙げられた。
業種の特性上、外貨建て債務が多い企業は特に心配だ。LGエナジーソリューションは第3四半期(7~9月)決算でのドル建て債務が6兆8283億ウォン(約7400億円)に達することを明らかにした。当時同社は「ウォン安が10%進めば、税引き前利益が2388億ウォン減少する可能性がある」と開示した。
鉄鋼、石油化学業界などは、ただでさえ世界市場で中国の安値攻勢に苦しむ中、ウォン安で大きな負担を強いられている。原材料の輸入割合があまりに高いためだ。
宋恵真(ソン・ヘジン)記者、鄭漢国(チョン・ハングク)記者、キム・ヒレ記者