「北朝鮮はロシアへの派兵の見返りに米本土を攻撃できる核兵器の技術を手にしようとするだろう。北朝鮮が米国との直接交渉に乗り出し、トランプ氏が勝手に何らかの決定を下せば、韓国と日本は困難な状況に追い込まれる恐れがある」
日本の野田佳彦・元首相が今月10日、東京都内の立憲民主党本部で本紙のインタビューに応じた。野田氏は「日米韓の安全保障協力はこれまで以上に重要になっているが、韓国の不安定な政治情勢が大きな懸念材料だ」とした上で上記のように述べた。野田氏は2011-12年に首相を務め、今年9月に立憲民主党代表に就任した日本の大物政治家の一人だ。野田氏に韓日両国の協力の方向性などについて考えを聞いた。
-韓国で大統領の弾劾訴追案が可決した。
「日韓関係は非常に重要だ。首相になって最初の訪問先を韓国にしたのはそのためだ。44年前の全斗煥(チョン・ドゥファン)政権による戒厳令も非常に衝撃を受けたが、今回の戒厳令は全く想像もできなかった。しかしやはり韓国の民主化は間違いなく進展している。法治の下で国会議員たちが戒厳令を解除し、その前に市民も立ち上がった」
-韓国における政治の混乱になぜ日本が危機感を持つのか。
「北朝鮮は憲法を改正して韓国を敵対国と定め、ウクライナにも派兵している。この状況で韓国政局の不安定な状況が続くのは非常に危険だ。分裂した状況をチャンスと考える異常な勢力が出てこないよう早急に安定化することを願う」
-最近の北朝鮮の動きをどう見るか。
「誰もが北朝鮮による7回目の核実験が近づいたと考えている。北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)や原子力潜水艦の建造技術などを確保すれば、米国が北朝鮮と直接の軍縮交渉に乗り出し、韓日双方が交渉から排除される恐れがある。両国は米国の『核の傘』弱体化を覚悟しなければならない」
-野党の代表だが安全保障については自民党政権と同じ考えのようだ。
「外交・安全保障は現実だ。無条件対立すれば国民が不安に感じる。国益のため与党と協力するのは当然だ」
-「韓国を嫌う政治家」という世評もある。
「誤解だ。首相になった時の最初の訪問先が韓国で、李明博(イ・ミョンバク)大統領(当時)と首脳会談を行った。韓国とは良好な関係を築きたかった。当時から『(韓国の)歴代大統領は支持率が下がれば日本に対する歴史カードを使う』と言われていたが、李明博大統領は『絶対にそうしない』と言ったので意気投合した」
-李明博元大統領となぜ顔を赤くして対立したのか。
「2カ月後に京都で再び会談した際、李明博大統領が慰安婦問題に言及した。会談の『5分の4』が全てその話になった。(相手の)態度は変わったが『(駐韓日本大使館前の)少女像を撤去してほしい』と要求した。すると(李明博大統領が)かっとして非常に神経質な態度を示した。会談直後に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の三代世襲が伝えられたこともあり、李明博大統領が電話で『今後も緊密に連絡を取り合おう』と言ってきたので『そうしよう』と答えた。翌年李明博大統領は竹島(日本が主張する独島の名称)に行った。韓国が嫌いではなく、遺憾な状況が続いただけだ」