父親が起こした火事で全身にやけどを負った男性を助けるために、軍隊の同期たちが約3億ウォン(約3200万円)という治療費の募金を開始した。
全身に「Ⅲ度熱傷」という重度のやけどを負ったAさん(21)の知人が15日、写真交流サイト(SNS)「インスタグラム」に投稿した。この知人は「Aさんの父親が『一緒に死のう』と家に火をつけ、Aさんは全身にⅢ度、お兄さんは全身にⅡ度のやけどを負い、父親は亡くなった」と事情を説明した。
これは、2日午前11時33分ごろ、慶尚北道浦項市内のあるマンションで火災が発生し、60代の父親が死亡、20代の息子2人が重傷を負ったものだ。次男のAさんは全身にⅢ度熱傷、家の中にいた長男(24)もⅡ度熱傷だという。警察と消防当局は「『父親が油をまいてブタンガスを爆発させようとしている』という通報が最初にあった」として、放火の可能性について調べているところだと明らかにした。
Aさんの知人がインスタグラムに投稿した文によると、Aさんの兄は幸いなことに手術を経て容体が安定しているが、Aさんは全身にⅢ度熱傷を負っており、提供された皮膚組織の移植を受け、かろうじて命をつなぎ止めている状況だという。この知人は「Ⅲ度熱傷とは、既に皮膚が真っ黒に焼けたまま固まっている状態(表皮、真皮と共に、皮下組織までの全層にわたってやけどした状態)を言う」「担当医師の所見では、Aさんが回復する確率は現時点で約5%だとのことだ」と説明した。
Aさんはこれまで健康保険の給付処理ができる組織を使って再生治療を受けてきたが、この方法だけでは大きな効果が期待できないため、病院側は生存率を高めることができる「自己培養皮膚移植手術」を勧めているという。しかし、この手術は健康保険が適用されず、Aさんの母親の経済力ではその費用を用意できない状況だとのことだ。その費用は手術・治療だけで3億2000万ウォンに達するとされる。
現在、Aさんが兵役を務めていた時に同じ部隊で過ごした韓国海軍の同期約10人が募金活動を開始し、ベスティアンやけど支援財団が開設したハッピービーン支援口座を通じて支援金を集めている。同財団には14日からの4日間で目標額5億ウォンが寄せられたことが分かった。
子どものころ、有名なテレビ番組に出演して演奏を披露するなど、「サックスの神童」と呼ばれたAさんは漢陽大学実用音楽科に進学したという。今年10月に韓国海軍を除隊した後、復学の準備をしていたさなかに今回の火事に見舞われたとのことだ。
チョン・アイム記者