中国で、床に腹ばいになって上司を歓迎する社員たちの様子が公開され、一部企業のおかしな企業文化があらためて注目を集めている。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が13日、報じた。それによると、SNS(交流サイト)に最近、広州南部の教育関連企業の社員約20人が床に腹ばいになっている様子を収めた動画が投稿された。
エレベーター前の廊下に腹ばいになった社員たちは、代表とみられる人物がエレベーターから降りてくると「ファン代表、歓迎します」「使命を果たすべく一生懸命に頑張ります」などと叫ぶ。近くには、花を手にして待機する職員の姿もある。
この動画が物議を醸すと、会社側は2月、動画の中の出来事について否定した。
法定代理人のリュ氏は「ファン代表はそのような歓迎式に出席したことはない。内容が創作されたか編集された可能性がある」とした上で「この動画のせいで会社が被害を受けている」と主張した。
現地当局は現在、この会社の主張や映像が本物かどうかなどについて調べを進めている。
動画は中国のSNS「微博(ウェイボー)」で800万回以上再生され、大きな注目を集めた。
ネット上では「このような企業文化は社員の尊厳を踏みにじる」などと批判が相次いだ。あるネットユーザーは「まだ調査中なので性急に結論を出すべきではない」としながらも「組織のリーダーを歓迎するためにひざまずいたり、酒を飲むよう強要したりするなど、有害な企業文化が多い」と指摘した。
中国でおかしな企業文化が物議を醸したのは今回が初めてではない。
昨年10月には広州市内の企業に勤めているというネットユーザーが、ネットで社内の「健康維持対策」を公開した。ここには、社員に毎月18万歩歩くよう強要し、目標に到達しなければ1歩当たり約1元の罰金を科すという内容などが含まれている。このネットユーザーは公共交通機関を利用して通勤しているといい、自身の一日の歩数が2500歩程度で月給から100元(約2100円)が引かれていると主張した。現在は罰金を取られないよう、帰宅する時にはわざわざ遠回りしているという。
2021年4月には河南省の不動産管理会社が、社員の体重や体型を厳格に管理し、条件をクリアできなければ給与から一定金額を差し引いていたことが報じられた。20年7月には成都の金融会社が業績不振を理由に社員らにトウガラシの入った激辛菓子2袋を無理やり食べさせ、処罰を受けた。
中国では社員のプライベートを規制することを労働権の侵害と規定している。関連法によると、会社が個人の権利を侵害する不合理な意識や規制を定めた場合、当局から警告を受け、社員たちに財政的な補償をしなければならないとSCMPは説明した。
キム・ジャア記者